元気で活気のあった日本の古き良き時代を感じることの出来る店にしたいと思っています。そして、日本が再度元気になることを期待しています。
2024年2月22日、日経平均株価は大きく値上がりし、終値では3万9098円68銭をつけ、バブル絶頂期の1989年12月29日の史上最高値3万8915円87銭を34年ぶりに更新しました。しかし、2023年の国内総生産(GDP)速報で、日本はドル換算で世界第3位の地位をドイツに譲って世界第4位上となった上に、予想外のマイナス成長となりテクニカル・リセッション(2四半期連続でのマイナス成長、景気後退)に直面しているとされ、国内景気は低迷状態です。バブル景気の日本が元気だった頃(バブル崩壊、1991年頃)は、スターバックス(日本1号店、1996年)もタリーズ(日本1号店、1997年)もなく、まだまだフランチャイズ店舗も少なかった時代で、喫茶店や飲み屋さんは個性的なお店が多かったです。取引先との打合せといえば、毎日喫茶店のはしご、夜は毎晩飲み会、そんな時代でした。その後の「失われた30年」(バブル崩壊の1990年代初頭から2020年代初頭までの30年間)は、喫茶店での打合せや飲み会も減りました。これは、景気ばかりではなく、禁煙運動やコンプライアンス、経費削減、減収などいろいろな要因があると思います。現在は、フランチャイズのお店が増え、便利になった反面、個性的なお店は少なくなりました。そして、コロナ禍やパワハラなどの影響で飲み会もさらに減りました。フランチャイズ以外の喫茶店やバーは、もはや必要のない存在とも思えてしまいますが、嗜好品文化の視点からみますと、そう簡単に必要のなくなる文化でもないと思います。
これだけ世界に広がっており、今現在でも人気上昇中の分野です。東京や大阪などの大都市圏や観光地は、コロナ禍以上に人出が戻っているとも聞きます。これからの外食産業に必要なキーワードの「人手不足、少子高齢化、IT・デジタル化、ローコスト、効率的なオペレーション」などを取捨選択して、取り入れるべき点は取り入れ、文化として、個性として残す点は残すように考えてみました。
■懐かしいAVANTI
1992年から約20年間、「TOKYO FM」にて放送されていた番組「Suntory Saturday Waiting Bar AVANTI」の雰囲気にあこがれ、実在はしない「AVANTI」に行ってみたいと思ったものでした。ほんとは「AVANTI」を再現してみたかったのですが、やはりジェイクさんやスタンさんがいないと無理そうなので諦めました。でも、少しでも、その頃の時代の雰囲気を感じられるようなお店にしたいと思っています。コロナ禍の再来でも営業を継続出来るように、会話は極力無くすようにはいたしました。その点は、古き良き時代と、これからの時代のIT化(テーブルオーダー、予約制、キャッシュレスなど)を共存できるようにいたしました。
■昔の喫茶店やバーは良かった
その頃はこの街にも、個性豊かな喫茶店が多くありました。デート用、友人用、ひとり用など、TPOに合わせてお気に入りの喫茶店を利用していました。お洒落なお店、怪しく入りづらいお店、敷居の高いお店など、どの店も個性豊かでこだわりのコンセプトを持ったこだわりのあるお店ばかりでした。しかし、今では、そのような喫茶店も少なくなりました。
また、個性豊かなショットバーやレストランバーもありました。若造では入りづらいお店、頑固そうなマスターのいるお店、敷居も値段も高いお店など、やはり唯一無二のお店ばかりでした。
そういったお店も少しづつ減ってきてしまいました。時代に合わなくなったといってしまえば、そうなのかも知れません。後継者問題もあるでしょう。この街では採算が取れない場合もあるでしょう。
ただ、あの頃に多くあったお店の雰囲気をもう一度感じたい、と思う時もあります。高度経済成長期・バブル景気時は、日本にも活気があって前途洋々の時代でした。給料も上がり続け、景気が悪くなるなどと想像もしませんでした。そんな日本の古き良き時代の雰囲気に浸ってみたい、感じてみたい、そんな空間で過ごしてみたいと思うこともあります。
東京には、とてつもなくレアなボトルや高価なボトルを揃えていらっしゃるバーや、とてつもなく高級感のあるバー、知識と技術の豊富なバーテンダーさんのいらっしゃるバー、歴史と伝統のある老舗バーなど、有名なバーがあります。
以前より少なくなったとはいえ、この豊田の街にも、オーセンティックバー、ダイニングバー、ジャズバー、敷居の高いバー、入りづらいバーなど、それぞれのコンセプトを持ったバーがあります。
そういった多くの諸先輩方のBARの足元にも及びませんが、少しでも近づけるように頑張ってまいります。
■先輩方のレガシー
そこで、どうせ開業するのであれば、先輩方の作られたお店のようにはいかないかも知れないが、少しでもそのレガシーを感じられるようなお店にしようと決めました。そもそも、バーは「お酒を飲むための場所」、パブは「お酒を飲みながら多目的に集う建物のこと」のようです。流行り廃りに影響されない、伝統的なスタイルを残しながらも、時代に合った変化もしていき、この店もレガシーとして残れるようにしたいと願いを込めて出店いたします。
当店は、静かにお酒とジャズを嗜むBARをめざしてまいります。
■長く営業できるBARを目指して
当店は、JAZZをBGMとしたオーセンティックバーです。古き良き時代のBARのイメージや雰囲気を大切にしながらも、長く継続的に営業を続けていける店づくりにもチャレンジしてまいります。どうしても、ある程度は取捨選択が必要です。そこで、残すことと切り捨てることを決めました。簡単にいいますと、「良いものを残す」、「人に左右される部分は切捨てる」「余分なコストは切捨てる」ことにしました。その理由は、お客様には、本当に良いものを知って頂き、味や香りをご体験して頂き、歴史と伝統のある良いものは美味しいことを知って頂きたいことです。そして、人間はいつどうなるか分かりませんし、いつかはこの世の中から消えゆくものです。現在も存続している文化を支えてきた歴史と伝統のある商品を中心にご提供する代わりに、人によってサービスに違いの出る部分は諦めました。フードロスの多いメニューも諦めました。その代わり、諦めた部分は他の手法でリカバーできるよう努めてまいります。
切捨てることは、「属人化」「余分なコスト」です。「属人化」については、マスターバーテンダーが体調不良でもお店を継続的に営業出来るようにすることです。つまり、臨時休業を無くし、営業時間を長くしても、人や人の能力によってサービスの異なる店の構造としないことです。よって、スタッフとの会話や技術を必要とするカクテルなどは提供しないこととしました。その代わり、テーブルオーダーやSNS等により、必要な情報はご提供するようにいたします。ご提供する酒類については、開栓動画やブログなどで、あらかじめSNSでそのご紹介をいたします。カクテルについては、お取り寄せにより本格的で伝統的なカクテルをご提供いたします。確かに、バーテンダーとの会話を楽しみにされていらっしゃるお客様もいらっしゃることは承知していますが、会話を希望していないお客様もいらっしることも事実です。どちらを優先するか迷いましたが、お一人様でもOKで、他の人と会話をしたくない、会話をしなくても済む空間としました。お一人での空間、同伴者の方とのお二人の空間を大切に出来る場としました。JAZZについて語り合いたい方やお酒について語り合いたい方、バーテンダーとの会話を期待されていらしゃるお客様や、本格的な店のオリジナルカクテルを期待されていらっしゃるお客様は、近所に、そのようなBARがありますので、そちらをご利用してください。また、「余分なコスト」は、フードロスやアイドルタイムです。完全予約制とし、余分なコストを減らして、その分、貴重なお酒やお取り寄せ商品の充実をいたします。
残す部分は、「オーセンティックな雰囲気」「非日常空間」「歴史と伝統と文化のあるお酒」「厳選されたおつまみ」「本物」です。これからの文化となり得ると思われる新しい蒸溜所のお酒や新商品も厳選してご提供はいたしますが、どちらかというと、古酒やオールドボトルといった、歴史と伝統のある酒類の比重が高いです。そのお酒の歴史にも触れて頂いて、現在のお酒文化の成り立ちにも触れて頂いて嗜むお酒も格別かと思います。どのメーカーも順風満帆ではなく、紆余曲折を乗り越えて現在があります。
BARには、各種のコンセプトに特化している場合が多いです。
オーセンティックバーは、格式高い印象のバーで、気軽にお酒やお喋りを楽しむというよりは、ゆったりと大人の時間を楽しむための空間です。
ショットバーは、バーの中でも比較的カジュアルで、一杯ごとに注文していくスタイルです。
スタンディングバーは、立ち飲みスタイルで、ショットバーよりもさらにカジュアルなバーです。
ダイニングバーは、食事メニューにも力を入れたバーで、カウンターだけでなくテーブル席もあり、料理も楽しむバーです。
コンセプトバーは、一つのジャンルに特化したバーや、ゲームや趣味の時間を楽しめるバー、映画や小説などにインスパイアされたコンセプトを持つバーなども近年は人気です。
パブ(Pub)は、イギリス発祥の主にビールやエールを提供するバーで、カジュアルで居心地の良い雰囲気が特徴で、誰でも気軽に立ち寄り、お酒や会話を楽しみ、その空間を楽しむバーです。
ワインバー(Wine Bar)は、ワインを専門に提供するバーです。ワインの試飲やワインに合う軽食を楽しむことができます。
スポーツバー(Sports Bar)は、大型のテレビでスポーツイベントを放映し、それらを観戦しながらその場にいる人たちとお酒を楽しむバーです。主なアルコールはビールやカクテルとなっており、大きな大会などがあると、多くの人が集まる場所といえます。
カラオケバー(Karaoke Bar)は、お酒と共にカラオケを楽しめるバーです。オープンスペースや個室で、人の歌を聞いたり、自分が歌ったりして楽しむことができます。
その他にも、最近は、プラネタリウムバー、ガールズバー、ゲイバー、ビリヤードバー、ダーツバー、日本酒バー、モルトバー、アニメバー、鉄道バー、などなどいろいろな種類のBARがあります。
■近隣のBAR巡り
現在でも、こだわりを持ったBARが近隣にあります。一人で静かに飲むお店、知識と技術のあるバーテンダーとお話しの出来るお店、グループで利用出来るお店など、TPOに合わせて近隣のBAR巡りでもいかがでしょうか?
当店も、老舗BARの教えを頂きながら、準備をしてまいりました。一部には、そのお店のレガシーとなる品も展示してます。先輩方のレガシーを残していきたいと思うしだいです。少しとんがった点もありますので、万人受けするとは思いませんが、気に入って頂ける方に大事にして頂ける店を目指してまいります。
■こんな会話が・・・
今若い方が将来、出世された時に、「俺は若い時から無理してこの店に来ていたんだぞ。」とか、
人生を我武者羅に突っ走って来られた方が、「晩年にこんな店に来られて良かった」とか、
お連れの方から、「こんな素敵なお店を知っているってすごいですね」とか
なんとか会話が聞こえてくるといいなぁ、と勝手に思ってます。