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ワインのお勉強(ラベルの読み方)

ワインのお勉強(ラベルの読み方)

ワインのラベルの読み方が良く分からないので整理してみました。
ワインのボトルを目にした時、そのワインがどんなワインかを知る手がかりはラベルの情報しかありません。しかし、英語ならまだしもフランス語やイタリア語で書かれたワインのラベルはワイン初心者にとってはとても難解です。ラベルに書かれていることが理解できれば、もう少しワインのことがわかると思い整理してみました。

■ワインのラベル

ラベルは、言わばワインの履歴書のようなものです。ワインの情報を正しく世に知らせるだけでなく、最近は生産者のアイデンティティーを表現しているものも増えています。
ジャケ買いといわれる、ラベルの見た目で判断するのも一つの選択方法ですが、ラベルの情報が理解できれば、好みのワインに近づく可能性が高まります。ワインライフをより充実させるためにも、少しずつ楽しみながら覚えていけると良いかもしれません。
ワインのラベルの情報を正しく理解できるようになると、おおよその味わいだけでなくそのワインの価値までも検討がつくようになります。
基本的にワインのラベルには、「いつ・どこで・誰が」ワインを造ったのかが記載されています。
・「いつ」は「=ヴィンテージ」で原料となったブドウの収穫年です。
・「どこで」は生産国、原産地です。
・「誰が」は生産者です。
その他には、アルコール度数や内容量も記載されていることが一般的です。ただ、法的にラベルに表記しなければならない内容は国によって異なるため、記載内容は生産国によって異なります。
基本的にラベルに最も大きく記載されているのがワイン名です。しかし、ワイン名は、フランスワインのように原産地がワイン名である場合もあれば、生産者が独自に付けた固有名詞がワイン名であることもあります。
また最近は、表ラベルはデザイン画のみで文字はなく最低限の情報のみ裏ラベルに記載するなど、自由にラベルを作成する生産者も増えています。
■ワインの分類(旧世界と新世界)
世界のワイン生産国は大きく二つのグループに分けられます。
一つは、旧世界(オールドワールド)と呼ばれる、フランスやイタリア、ドイツ、スペインなど、ワイン造りの歴史が数百年以上も続く伝統国です。
もう一つは、新世界(ニューワルド)と呼ばれる、アメリカ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本など、主に第二次世界大戦後にワイン造りが盛んになった新興国です。
旧世界と新世界ではワインのラベルの基本的な記載事項が異なります。
ワインといえば、まずは「フランス」を思い浮かべる方が多いと思います。フランスではワインのラベルをエチケットといいますが、フランスをはじめする旧世界のワインのラベルを理解するには、残念ながらある程度ワインの知識が必要です。
一方、新世界のワインのラベルは初心者にも非常にわかりやすく記載されているのが特徴です。

■旧世界のワインのラベルについて

旧世界のワインは原産地名=ワイン名であることが多いため、ラベルには原産地名が最も大きく記載されているのが一般的です。他に生産者名やヴィンテージ(葡萄の収穫年)などが記載されていますが、例外を除いてフランスのワイン法ではヴィンテージ(葡萄の収穫年)の表示義務はありません。
旧世界のラベルが難しい理由の一つに、味わいをイメージしやすい原料の葡萄品種の記載がないことが挙げられます。フランスでは、アルザス地方を除いて原則「A.O.C.ワイン」の表ラベルに葡萄品種の記載はありません。よって、ワイン名(原産地名)の知識がなければ、そのワインがどんな葡萄から造られたワインかわかりません。
EUに加盟する旧世界のワイン生産国、特にフランスやイタリアは、ワインの造りの長い歴史や伝統とともに産地を守るという意識が高く、ワインの造り方はもちろんですが、産地の気候や土壌、いわゆるテロワールによってワインの個性が大きく異なると考えられているため、「A.O.P.名」=ワイン名となっているのです。
■ボルドーワインのラベルの読み方
ラベルに表示された文字列は、ワインによって微妙に違いますが、共通するものも多くあります。
いわゆるワインの銘柄と呼ばれるのは、最も大きな文字で書かれているものです。
ボルドーの場合、ファーストラベルのワインは葡萄畑と醸造所を所有しているシャトーの名前が書かれることが一般的で、それ以外の場合はワインにつけられた固有の名前や、原料葡萄の栽培地などが書かれています。
まず、ボルドーワインに限らずトップカテゴリに位置しているAOC(AOP)ワインの場合は、表ラベルもしくは裏ラベルに必ず記載しなければならない「義務表示」があります。
表ラベルには、原料葡萄が収穫された年が書かれていることがあります。
しかし、この表示(収穫の年)はEU加盟国で生産されたワインの場合、その年の葡萄が85%以上使われていないと表記することができません(シャンパーニュなどの例外あり)。複数年の葡萄をブレンドして造るワインも市場に多く出回っているため、ヴィンテージは任意表示となっています。
① 原産地呼称名(A.O.C..名)
ワインの原料である葡萄の産地にあたります。「Appellation d’Origine Controlee」(アペラシオン・ドリジーヌ・コントーレ)といい、「d’Origine」の部分に「Bordeaux」や「Pauillac」などの産地名が入ります。
② 原産国名
ボルドーはフランスにあるため、「produit en France」「produit de France」「vin de France」など、フランスが原産国である旨が書かれています。
③ 瓶詰め元名と住所(生産者と住所)
ワインの瓶詰め元と住所が書かれています。また、シャトー所有の葡萄畑で収穫された葡萄を用いて醸造され、瓶詰めまで一貫生産されたワインには「Mis en Bouteille au Chateau」と記載されています。キャップシールに表示されている場合もあります。
④ 容量
通常の750mlサイズのボトルであれば「750ml」もしくは、「75cl」と書かれています。
⑤ アルコール度数
アルコール度数についてもワインでは重要な情報です。表ラベルの端っこのほうに小さく書かれています。
以上の五つの項目をラベルに表示することが義務付けられており、ヴィンテージの表示は任意です。表示する場合はその年の葡萄が85%以上使われていなければなりません。
■ボルドーワインのラベルの例
(例1)シャトー・ラフィット・ロスチャイルド
メドック格付け第1級五大シャトーの筆頭の地位を誇る気品高いシャトー・ラフィット・ロスチャイルドのラベルです。
①MIS EN BOUTEILLE AU CHATEAU
→シャトー元詰め
②CHATEAU LAFITE ROTHSCHILD
→瓶詰め元名=生産者であり、ワイン名(銘柄)
③2001
→ヴィンテージ 原料となる葡萄の収穫年
④PAUILLAC
APPELLATION PAUILLAC CONTOROLEE
→原産地呼称名
シャトー・ラフィット・ロスチャイルドの所在地はポイヤック村、原産地呼称も「A.O.C.ポイヤック」
⑤12.5%
→アルコール度数
⑥750ml
→容量
※原料となる葡萄品種はラベルに明記されていませんから、自ら調べる必要があります。A.O.C.ポイヤックは赤ワインしかなく、基本的にカベルネ・ソーヴィニヨン主体で造られていることを知っていれば、もし銘柄を知らなかったとしても味わいをイメージすることができます。
ちなみに、ラベルには記載されていませんが、シャトー・ラフィット・ロスチャイルドはメドック格付け1級のワインです。1級と知っていれば、価格にも納得できるはずです。
(例2)シャトー・ムートン・ロスチャイルド
ボルドーの1級シャトーであるシャトー・ムートン・ロスチャイルドのラベルです。
①Gerhard Richter
2015年のラベル絵を担当したゲルハルト・リヒターの名前が書かれています。向かって左は、絵画の名前となっています。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドは、毎年違う著名な画家にラベル絵を依頼しています。
②Chateau Mouton Rothschild
銘柄です。この場合、ワインが造られたシャトー・ムートン・ロスチャイルドの名前が書かれています。セカンドラベルの場合は「LE PETIT MOUTON DE MOUTON ROTHSCHILD」(ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロスチャイルド)という銘柄になります。
③2015
原料葡萄が収穫された年です。
④toute la recolte ete mise en bouteilles au Chateau
収穫された葡萄が全てシャトーで瓶詰めされている、という「シャトー元詰め」を示す内容になっています。
⑤PAUILLAC
原産地呼称です。シャトー・ムートン・ロスチャイルドの所在地はポイヤック村で、原産地呼称も「AOCポイヤック」となります。⑥Baronne Philippine de Rthschild
瓶詰め業者名になります。この場合はシャトーの所有者であるバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドの名前が表示されています。
⑦proprietaire
「所有者」という意味です。すぐ上のバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが所有者だということを示しています。
※ボルドーワインと言えば、メドック地区の1級から5級の格付けワインをはじめとして、各地区の格付けを知りたいという人も多いと思います。しかし、ほんどのワインにはシャトー・ムートン・ロスチャイルドのように格付けが書かれていません。
また、フランスは産地によってだいたい栽培される品種も決まっているため、アメリカなどのニューワールド・ワインのように使用されている品種が書かれていることはほとんどありません。
ボルドーでは赤ワインの場合は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プチ・ヴェルドなどが、白ワインの場合はソーヴィニヨン・ブランやセミヨンが使用されています。
■ブルゴーニュワインのラベルの読み方
フランス・ブルゴーニュ地方のA.O.C.ワインにもラベルの表示義務があります。内容はボルドーと基本的に同じです。
ワインボトルに記載されている文字は、そのワインにおける「情報」です。フランス・ブルゴーニュに限らず、フランスのその他の産地やイタリアやスペイン、カリフォルニアなど、各国の表示義務に則った情報がラベルに記載されています。
ブルゴーニュもフランスの他産地と同様に、トップカテゴリに位置するA.O.C.(A.O.P.)ワインであれば、産地など様々な情報をラベルに表示する義務があります。
一部例外はありますが、ブルゴーニュで生産されているワインの多くは、A.O.C.がラベルの中心部分に大きく記載されていることが多く、それを囲むように、他の情報が記載されています。
まず、ラベルを見た瞬間に、「このワインはブルゴーニュ地方のワインだ」と分かるようになることが、ラベルを読めるようになる基本です。
ちなみに、ブルゴーニュにはフランスワインのA.O.C.の数のおよそ4分の1にあたる約100のA.O.C.が存在しており、複雑な仕組みで構成されています。そのため、他の産地とは違った複雑なA.O.C.表記になっており、ワイン初心者には分かりにくいかもしれません。
しかし、細かく細分化されている分、ワインの出自(しゅつじ、でどころの意)がより明確になるため、好みのワインを探しやすくなるほか、畑単位で味わいの違いを楽しめるというメリットがあります。
ブルゴーニュにおけるA.O.C.表記については後述として、まずは他の産地と共通しているラベルに記載されている情報について触れておきます。
EUでは、2009年ヴィンテージから新たな品質区分が適用されています。その規則では、「地理的表示付きのワイン」「地理的表示のないワイン」に大別されており、さらに「地理的表示付きのワイン」はA.O.P.(Appéllation d’Origine Protégée)とI.G.P.(Indication Géographique Protégée)の二つに分けられます。フランスでは自国のワイン産地名を保護する目的でA.O.C.(Appellation d’Origine Controlee)が1935年に制定されており、EUの新たな区分であるA.O.P.に包括されます。ここでは、ブルゴーニュのワインをベースにした、A.O.C.とI.G.P.地理的表示付きワインにおけるラベル表記の規定を確認してみます。以下は表ラベルか裏ラベルに必ず記載されている義務表示になります。
① 原産地呼称名(A.O.C.名)
A.O.C.やI.G.P.で認められた原産地名が記載されています。ブルゴーニュの場合「Appellation d’Origine Controlee(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)」の、「d’Origine(ドリジーヌ)」の部分に、「BOURGOGNE」「BEAUJOLAIS」「Chablis」などが入りますが、「Premier Cru」などの畑の等級が入ることがあります。これについては、後述します。
② 原産国名
フランスで造られたワインの場合、「produit en France」「produit de France」「vin de France」など、フランスが原産国である旨が書かれています。ブルゴーニュはフランスですので、これに当たります。
③ 瓶詰め業者名
そのワインを瓶詰めした業者の名前、また住所が記載されます。「Mis en bouteilles par」の後にそのワインを瓶詰めした業者の名前が記載されます。ドメーヌ(自ら所有する葡萄畑で収穫された葡萄を用いて醸造され、瓶詰めまで一貫生産する生産者のこと)が元詰めの場合は「Mis en bouteilles au domaine」と記載されます。
④ 容量
通常サイズのワインボトルの場合、750mlですので、ラベルには「750ML」だったり「75cl」などと記載されています。
⑤ アルコール度数
アルコール飲料であるワインは、アルコール度数を表記しなければなりません。多くはラベルの端部分に小さく、「ALC.13.5%」などと記載されています。

※以下の二つは意外にも記載が義務付けられていません。
①収穫年
ワインにとって、葡萄の収穫年は重要です。ただし、この「収穫年」を記載する場合、その収穫年の葡萄を85%以上使用しなければなりません(シャンパーニュを含め、例外あり)。
また、様々な収穫年の葡萄をブレンドしているワインも多く、ブレンドの場合は、ヴィンテージは任意です。ブルゴーニュの場合、ピノ・ノワールやシャルドネなど単一品種でワインを造るため、ヴィンテージを重要視します。
そのため、ブルゴーニュ地方のほとんどのワインはヴィンテージ表記されていると考えて良いかもしれません。
②葡萄品種
葡萄品種も任意です。収穫年のように、単一品種を85%以上使用した場合に記載可能ですが、ブルゴーニュの場合、産地と使用可能品種がセットで覚えられているため、記載していない生産者が多くいます。
ちなみに、広範囲をカバーする広域(レジョナル)のA.O.C.の場合、ピノ・ノワール、シャルドネ、などと表記しているものが多く見られます。

■ブルゴーニュのA.O.C.
前述したブルゴーニュのA.O.C.について触れてみます。
ブルゴーニュは、以下の四つのA.O.C.に大別されています。
・ブルゴーニュ地方全体をカバーしている広域(レジョナル)のA.O.C.
・村をカバーしている村名(コミュナル)のA.O.C.
・コミュナルの中に含まれている1級畑(プルミエ・クリュ)をカバーする1級(プルミエ・クリュ)のA.O.C.
・コミュナルの中に含まれている特級畑(グラン・クリュ)をカバーする特級(グラン・クリュ)のA.O.C.
※ブルゴーニュの場合、地方から村、1級畑、特級畑と、ワインに使用されている葡萄の範囲が狭まっていき、それに伴い価格も上昇していきます。ブルゴーニュ地方の中でも、範囲の狭い、特級畑などの限定された地域の方が価値があるとされているということです。
シャブリやボージョレ、そのほか広域(レジョナル)のA.O.C.などに例外はありますが、これが基本になります。ちなみに、ジュヴレ・シャンベルタンを例にとって説明すると、
・広域(レジョナル)のA.O.C.
=アペラシオン・ブルゴーニュ・コントロレ(ほかの広域A.O.C.に該当する可能性もあり)
・村名(コミュナル)のA.O.C.
=アペラシオン・ジュヴレ・シャンベルタン・コントロレ
・1級畑(プルミエ・クリュ)のA.O.C.
=アペラシオン・ジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・コントロレ
・特級畑(グラン・クリュ)のA.O.C.
=アペラシオン・シャンベルタン・グラン・クリュ・コントロレ(ジュヴレ・シャンベルタンはグラン・クリュが9つあり、今回はその一つ)
となります。ちなみに、例えば「シャンベルタン グラン・クリュ」の場合、ラベル中央に「シャンベルタン」と大きく記載し、その下にやや小さく「グラン・クリュ」、そしてその下にさらに小さな文字で「アペラシオン・ジュヴレ・シャンベルタン・グラン・クリュ・コントロレ」と、記載されるラベルもあります。また、1級畑(プルミエ・クリュ)はクリマの名前を続けることが可能です。
グラン・クリュ同様に中央に堂々と大きくジュヴレ・シャンべルタンと記載し、その下に「クロ・サン・ジャック(プルミエ・クリュのクリマのひとつ)」、その下に小さく「アペラシオン・ジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・コントロレ」と、記載する生産者もいます。
複雑ではありますが、ブルゴーニュのラベルを読み解くには、まずこのA.O.C.を理解しておくことが重要です。
上記の通りブルゴーニュは、数多くのA.O.C.が存在しています。例えば、広域(レジョナル)のA.O.C.は、主に「ブルゴーニュ」ですが、使用品種や比率によって、「ブルゴーニュ・パス・トゥー・グレン」や「ブルゴーニュ・ガメイ」など、いくつか存在します。また、北部のヨンヌ県には「ブルゴーニュ・コート・ドーセール」などの広域(レジョナル)のA.O.C.が存在します。
1級畑だけあり、特級畑が無い村、シャブリ地区やボージョレ地区のようにA.O.C.が独自の階層に分かれている場所など、非常に複雑です。一気に覚えようとするのではなく、ご自身が好きな村からとか、生産者からとか、ポイントを絞って覚えてから広げていく方が分かり易そうです。
ブルゴーニュ地方はA.O.C.が複雑ですが、ラベルの読み方は基本的に一緒です。いきなり全てを覚えるのではなく少しずつ覚えていけば、ラベルを見ただけで、ブルゴーニュのどんな場所で造られたワインなのか、ということが分かるようになるかもしれません。ある程度の経験と知識は必要となりそうです。
■ブルゴーニュワインのラベルの例
(例1)ロマネ・コンティ
①MONOPOLE
→単独所有畑(原料となる葡萄畑を生産者が単独で所有しているという意味)
②2009
→ヴィンテージ 原料となる葡萄の収穫年
③SOCIETE CIVILLE DU DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI
PROPRIETAIRE A VOSNE-ROMANEE FRANCE
→生産会社名と所在地、原産国
④ROMANEE-CONTI
→ワイン名(銘柄)であり、原産地呼称名(特級畑名)
⑤APPELLATION ROMANEE-CONTI CONTROLEE
→原産地呼称「A.O.C.ロマネ・コンティ」
⑥6465 BOUTEILLES RECOLTEES
→生産本数 6465本
⑦BOUTEILLE NO.03170
→ボトリングナンバー
⑧ANNEE 2009
→原料となる葡萄の収穫年
⑨LES ASSOCIES GERANTS
→共同代表者
⑩オベール・ド・ヴィレーヌとアンリ・フレデリック・ロック
→2名の署名
⑪MISE EN BOUTEILLE AU DOMAINE
→ドメーヌ元詰め
※世界で最も高値で取引されるといわれる「ロマネ・コンティ」は偽造品も多く出回っていることから、ボトリングナンバーや生産者の署名もラベルに記載されています。ここまでラベルに表記している生産者は非常に稀ですが、他の項目に関しては表示義務に従って記載されています。容量とアルコール度数は裏ラベルに記載されています。
(例2)シャルム ・シャンベルタン グラン・クリュ
ジャンテ・パンショ(生産者名)の「シャルム ・シャンベルタン グラン・クリュ」のラベル
①2004
→ラベルのサイド上部にはヴィンテージが記載してあります。原料葡萄が収穫された年です。
②CHARMES-CHAMBERTIN
→ジュヴレ・シャンベルタン村に9つあるグラン・クリュの一つである「シャルム・シャンベルタン」です。
③GRAND CRU
→このワインがグラン・クリュであることが確認できます。
④MIS EN BOUTEILLE A LA PROPRIETE(ミザン・ブテイユ・ア・ラ・プロプリーテ)
→所有者元詰めということが分かります。
⑤GEANTET PANSIOT
→生産者名(ジャンテ・パンショ)
⑥vigneron a Gevrey-Chambertin,France
→フランスのジュヴレ・シャンベルタンのワイン生産者です、という意味になります。
※1 A.O.C. 
Appellation d’Origine Controlee (アペラシオン・ドリジヌ・コントローレ)というフランスの法律の略です。日本語では「原産地統制呼称」と訳されます。フランス国内の優れた農産物や酪農品などを国が保証するために与える認証のことです。A.O.C.ワインに認定されるには、その規定に従って葡萄を栽培、醸造しなければならず、葡萄の栽培範囲はもちろんのこと、認定される葡萄品種、最大収量、最低アルコール度数、剪定法や醸造法まで事細かに定められており、さらに官能検査もクリアする必要があります。
※2 A.O.P.
Appellation d’Origine Protégée (アペラシオン・ドリジン・ポテジェ)というEUの法律です。日本語では「原産地名称保護」と訳されます。フランスのA.O.C.倣って制定された法律で、2006年に農産物と食品、2008年にワインに導入されました。
※3 瓶詰の表記
・正当な表示
Mis en Bouteilles au Domaine ミザン・プーテイユ・オ・ドメーヌ(自家瓶詰め)
Mis en Bouteilles a la Propriete ミザン・ブーテイユ・ア・ラ・プロプリーテ(生産者による瓶詰め)
・酒商が自分のワインにつける表示
(自家瓶詰めとは異なる、ただし酒商が自分で畑を所有している場合もある)
Mis en Bouteilles par le Proprietaire ミザン・ブーテイユ・パー・ル・プロプリテール(葡萄園所有者による瓶詰め)
Mise en Boutailles dans nos Caves ミザン・ブーテイユ・ダン・ノ・カーヴ(酒蔵元詰め・これは酒商のブレンドもの)
Mis en Bouteilles dans nos Chais ミザン・ブーテイユ・ダン・ノ・シャイ(倉庫元詰め・これも酒商のブレンドもの)
・意味のない表示
Mis en Boutailles au Chateau ミザン・ブーテイユ・オ・シャトー(シャトー元詰め)
これはシャトーが必ず自家元詰めとなるボルドーで意味があります。ブルゴーニュは畑によって統制呼称がつけられているので、シャトーと名乗る醸造家の誇りしか意味を持ちません。
Grand vin de Bourgogne グラン・ヴァン・ド・ブルゴーニュ(ブルゴーニュの偉大なワイン)
勝手に使われているだけで、実質的な意味はないです。量販品の売り文句に多いです。

■新世界のワインのラベルについて

一方で、新世界のラベルは収穫年や産地に加え、ワインの品種まで書かれていることが多くわかりやすいです。
ラベルの雰囲気もポップで現代風なデザインのものが多く存在し、旧世界と比べると、文字も少なくカジュアルな印象です。
このような違いの要因は、各国のワイン法や品質分類に見られます。
旧世界は伝統と規制によって事細かにラベル表示されている場合が多いですが、新世界は原産地や収穫年・品種などを「○○%以上で表示できる」というルールが国によって存在しています。そのため、ラベル表示も分かりやすく、深い知識が無くても手に取りやすくなります。
ワインラベルを読むことは難しいと思いがちですが、新世界のラベルは初心者にも分かりやすく、そんなカジュアルさも魅力の一つです。ラベルの読み方を知ると、ワイン選びが楽しくなり、普段選べなかったワインも手に取れるようになります。
■新世界のラベル
ワインの顔でもある、ワインボトルの「ラベル」は、そのワインの味わいや特徴をイメージする重要なものです。威厳を醸し出しているラベルもあれば、思わず手に取りたくなるポップなラベルまで、様々に存在します。
実は選びやすい新世界(ニューワールド)のラベルの読み方について触れておきます。
新世界のラベルは、旧世界のラベルより非常にわかりやすくワインの情報が記載されています。
まず、新世界のワインは単一の葡萄品種で造られていることが多く、ラベルに葡萄品種が記載されているのが一般的です。このようなワインを「ヴァラエタル・ワイン(品種表示ワイン)」といいます。好みのワインを探す手がかりになる品種が、大きく分かりやすく表示されている事が多い新世界のワインです。ラベルに「Chardonnay(シャルドネ)」「Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニヨン)」など、単一品種が表示されているワインのことを指します。
品種が1種類のみ書かれているワインもあれば、オーストラリアなどのワインを見てみると品種が併記されている場合もあります。こちらは「ヴァラエタル・ブレンドワイン」といわれます。ワイン法によって、複数の葡萄品種が使用されている場合は、比率が高い順に併記し表示されることになっています。このようなヴァラエタル・ワインは、とても分かりやすく選びやすいのでワイン初心者にはありがたいです。ちなみに、複数の葡萄品種をブレンドして造られている場合は、使用比率が高い順に併記し表示されることになっています。ただし、どの程度(全体量の割合、%など)使用すれば記載できるかは国によって異なります。また、ヴィンテージや産地表記に置いても同様のルールがあり、国によって異なります。
ラベルはフランス語で「エチケット」と呼ばれます。エチケットには、大小様々な文字が細かく表示されているため、ワイン選びのヒントとなる品種はどこに書かれているのだろうと悩んでしまいがちです。
旧世界のラベルには、品種ではなく「原産地のみ」が記載されていることがよくあります。原産地から品種を特定する知識が必要なので、ワイン初心者にはハードルが高くなります。
ラベルを見ただけでは分かりづらいため、ワインについて知りたい場合は、店頭では品種名や味わいなどの説明を見たり、ソムリエに尋ねたりしながら好みのワインを見つけ出す方が良いかもしれません。
現在は、検索機能付きの携帯アプリもありますので、活用してみるのも良いかもしれません。無料アプリですと、約2000万人のユーザー数を誇る世界有数の無料アプリである「Vivino」や、有名なアプリである「Vinica」など、いろいろあります。目的に合ったアプリを試してみると良いかもしれません。
■新世界のワインのラベルの例
(例)ケンダル・ジャクソンのラベル
アメリカ・カリフォルニアの生産者ケンダル・ジャクソンのワインのラベル
①KENDAL-JACKSON
→ブランド名
②VINTNER’S RESERVE
→シリーズ名
③ZINFANDEL
→原料葡萄品種
④JACKSON ESTATE・VINEYARD STEWARDSHIP
→生産者名 (自社管理葡萄畑所有)
⑤NORTH COAST
→生産地(AVA名)
⑥2018
→原料となる葡萄の収穫年
※ちなみに、アメリカにもEUのA.O.P.のような原産地の保護及び保証をする法律であるAVA(American Viticultural Areas、アメリカ政府承認葡萄栽培地域)があります。1978年に法制化され、1983年に施行されました。ただし、アメリカのAVAが定める内容は産地・葡萄の品種・収穫年度で、栽培品種や栽培方法、醸造方法に関する規定は定められていません。 上記のワインのAVAはNORTH COAST(ノースコースト)になります。

■ワインのヴィンテージとは?

ワインのラベルに書いてある数字や、ワインの話で耳にする 「ヴィンテージ(収穫年)」について触れておきます。
■ワインのヴィンテージ
ワインの『ヴィンテージ』は、そのワインの原料となった葡萄が「収穫された年(収穫年)」のことをいいます。
ラベルに「2000」「2015」のような数字が書かれていれば、それはそのワインの葡萄が、西暦何年に収穫されたものかを表します。プレゼントを選ぶとき、生まれ年のワインを贈る…という話を耳にしたこともあります。
ヴィンテージを表記する理由は、葡萄が採れた年の個性がワインに表れるからです。葡萄は農産物なので、どうしても採れた年の天候や収穫時期など、生育状態によって品質や個性に違いが出てきます。具体的には、降雨量や春霜などの気候状況です。日本でも、台風や長梅雨、干ばつ、暖冬などの影響による農作物の影響に関するニュースがあるのと同じです。
ワインは果物から造られるお酒ですので、ワインの出来映えも毎年違ってきます。全く同じ銘柄のワインであっても、ヴィンテージによる葡萄の出来の違いがワインの品質に影響を与え、価格に大きな開きが生じてしまいます。しかし、必ずしも『ヴィンテージの良し悪し=ワインの良し悪し』ではありません。葡萄の出来が悪い年でも造り手の技により、美味しいワイン出来上がります。生産者たちは、葡萄の出来が良い年も悪い年もベストなワインを造ることを目指し、さまざまな努力を重ねているのです。​いろいろなサイトで、収穫年、地域、出来映え、などを記した「ヴィンテージチャート」もありますので、参考にするのも良いかもしれません。
・国による呼び方の違い
ワインはその生産国や地方の規格を満たしていれば、ヴィンテージを表記することができます。国によって表記名が異なります。
英語では、ヴィンテージ(Vintage)
フランス語では、ミレジム(Millesime)
イタリア語では、ヴェンデミーア(Vendemmia)
ヴィンテージ表記の規定
■国によるヴィンテージの表示規定の違い
・EU加盟国
EU加盟国の場合は85%以上をその収穫年の葡萄と定めています。
ただし、フランスのシャンパーニュ地方のように、単一収穫年(同じ年に収穫)の条件に加えて、最低36カ月間の熟成を行わないとヴィンテージ表記ができないという場合もあります。
・日本
日本ワインの場合も、国内収穫のブドウを国内で醸造して同一収穫年の葡萄85%以上を使用する必要があります。
・ヨーロッパ以外の新興国
ヨーロッパ以外の新興国では同一収穫年の比率が低い場合も見られます。例えばチリの場合は75%以上と定められています。
■ノン・ヴィンテージ
収穫年の違う葡萄のブレンドは、昨年収穫した葡萄からできたタンクのワインを、今年仕込んだタンクのものとブレンドするというのが一般的です。規定を越えて収穫年の違うワインをブレンドした場合は特定の年号を決めることができなくなります。その場合はヴィンテージを表記することができません。また、特定の年に収穫された葡萄のみを使って造られた場合でも、地域のワイン規定を満たしていない場合は、ヴィンテージの表記ができず、「ノン・ヴィンテージ(年号がない)ワイン」となります。
目的によってはノン・ヴィンテージワインを狙って造ることもあります。例えば毎年安定した品質のワインをつくるために、複数年の葡萄を使用する場合や、ワインをブレンドしてあえてヴィンテージの違いを平均化する目的などがあります。
そもそもシャンパンの8割は、収穫年が表示されていない「ノン・ヴィンテージ(ノン・ミレジメ)」のものです。シャンパンの産地であるシャンパーニュ地方はフランスでも北部の寒い地域にあり、収穫される葡萄が上手く熟さないことがあり、なかなか質が安定しません。しかしシャンパーニュのメゾンとしては、毎年同じ味わいのものを安定して供給したいという思いがあります。そこで、味わいに差が出ないよう、その年の葡萄で造ったワインに、複数年のワインがブレンドされたリザーブワインを調合(=アッサンブラージュ:ブレンドすること)したものを、多くの人に味わってもらえるように「ノン・ヴィンテージ」としてリリースするのです。
一方で、100%その年のブドウで造られた、収穫年が表示されたヴィンテージ・シャンパン(ミレジメ)は、しっかりと選びぬかれた葡萄のみで造られています。価格も「ノン・ヴィンテージ」のものより高くなり、瓶の中で最低3年寝かせないと出荷できません。「ノン・ヴィンテージ」のシャンパンは最低15カ月寝かせたら出荷させることができ、その他のスパークリング・ワインについては多くが最低9カ月の瓶内熟成を経たらリリースできるため、ヴィンテージ・シャンパンは手のかかった存在になります。多くが「ノン・ヴィンテージ」だからこそ、しっかりと味の違いを消費者にアピールするためにも100%という完璧な数字が必要だったのかもしれません。
■新しいヴィンテージ
新しいヴィンテージの魅力はなんといってもフレッシュさです。果実味を感じるワインが多く、いきいきとした味わいがお好みなら新しいヴィンテージのワインがおすすめです。その代表格は、フランス・ボジョレー地区で、その年に収穫したぶどうを醸造した新酒ワインである「ボジョレー・ヌーヴォー」です。毎年11月の第3木曜日の午前0時にお店での提供が解禁されます。「ヌーヴォー」とはフランス語で「新しい」という意味で、ワインの世界では「その年に収穫したぶどうを使った新酒」を指します。つまり、フランスのワイン産地「ボジョレー」の「新酒」が、「ボジョレー・ヌーヴォー」です。フレッシュでフルーティーな香りと味わいが楽しめます。
■古いヴィンテージ
古いヴィンテージのワインは熟成が進んでいます。時が進むほどに変化し、味がまろやかになる、複雑さを増すなどの特徴が出てきます。若い時はワインが硬く感じていたものが、熟成されて飲み頃を迎える、ワインはそんな時間の経過を楽しめるお酒です。しかしワインには飲み頃のピークが存在するため、そこを過ぎてしまうと味が劣化してしてしまいます。古いヴィンテージだから美味しい、とは一概には言えない理由です。
■ワインの熟成
「十分に熟してできあがること」を「熟成」といいます。
ワインの場合、香りや味わいが時間をかけてまろやかになったり複雑味を増したりすることを意味します。
ワインの熟成に必要な要素は、ワインに含まれている有機酸、ポリフェノール、タンニン、アルコールや残糖分などで、含まれる量が多ければ多いほど、長い時間をかけた熟成が可能です。
・熟成による変化
① 色
ワインは若い時ほどフレッシュで明るい色をしています。時間が経過するにつれ、徐々に酸化が進み、ワインの色は変化していきます。白ワインであれば「緑がかった色味→黄金色→トパーズ→アンバー」と変化していき、赤ワインであれば「ルビー→ガーネット→レンガ→マホガニー」の順で変化していきます。
② 香り
若いワインは葡萄由来の香りが強く、フレッシュでフルーティーな印象です。
白ワインが熟成されていくとハチミツやナッツ、キノコなどの香りに変化します。
赤ワインが熟成されていくと紅茶やなめし皮、腐葉土などの香りに変化します。
③ 味わい
酸味や渋味が和らぎ、全体的に円熟味を帯びる傾向があります。
若いヴィンテージのワインには味に突出した要素があり、この状態を「開いていない・硬い」と表現することがあります。熟成することによってワインは変化していき、まろやかで口当たりがよく「開いている」と言われる状態になります。
・熟成に向いたワイン(赤ワイン)
赤と白を比べた場合、一般的に熟成に向いているのは「赤」ワインです。赤ワインの方がワインの熟成に必要な要素であるポリフェノールやタンニンが多いからです。
赤ワインは果皮と種子と果汁を一緒に醸造するため、アントシアニン(ポリフェノールの一種で赤黒い色のもと)やタンニン(渋味のもと)が多く含まれています。そのため熟成に向いたワインが多く、含有量の多い品種であるカベルネ・ソーヴィニョンやメルローを使うボルドーワインは、その代表選手といえます。
白ワインの場合は、熟成に向いた要素が赤ワインほど多くありません。しかし、樽熟成をした白ワインはコクや複雑さが生まれるため、熟成によって味わい深くなります。白ワインでもアルコールが高めのものや、糖度と酸度の高い甘口ワインも熟成に向いています。
なお、オレンジワインは白ワインに果皮と種子を入れて一緒に醸すため、アントシアニンやタンニンなどもプラスされるので、熟成向きといえます。
その他にも、葡萄の出来が良かった年に造られたワインも長期熟成に向きます 。
・熟成に向いているブドウ品種
熟成に向いているのは先ほど述べたように赤ワインの品種が多いです。
① カベルネ・ソーヴィニヨン
タンニンが豊富で、熟成によってまろやかになり重厚感が増します。
② メルロー
カベルネ・ソーヴィニヨン同様、タンニンが豊富です。
③ シラー
アルコールが比較的高く、タンニンも強い品種です。
④ ピノ・ノワール
酸が高く、熟成により香り高く複雑みを増します。
⑤ ネッビオーロ
酸とタンニンが豊富で長期熟成に向いています。
上記の通り、熟成に向いている葡萄品種は「高級ワイン」と呼ばれる銘柄に使われるものが多いです。時間をかけて熟成させる楽しみのある、長寿命なワインほど価値があるといえるかもしれません。
​・熟成と酸化の違い
熟成中のボトルの中では、ワインに含まれる無数の物質に様々な化学変化が起きています。その一つに酸素の影響によるものがあるため「酸化」は熟成の一部ということができます。
ワインが時間を経て好ましい状態になれば「熟成」、好ましくない変化が起きてしまった場合は「劣化」となります。その線引きはなかなか難しく、銘柄・ヴィンテージや保管条件に左右されながら、(長い場合には)経年による変化をワインにゆだねることになります。熟成の奥深さは計り知れません。
・自ワインを熟成させる時の保管方法
下記の保管環境を整えることが重要です。
ワインの理想的な保管条件は、下記になります。
①温度12~15℃
②湿度70~75%
③温度変化や振動がない
④紫外線が当たらない
地下室や床下のような冷暗所、もしくはワインセラーでの保管が理想です。気温が高温になる場所や日光が当たる場所では、ワインの劣化が進みます。ワインにとって理想的な環境で保管すると、ワインは時間と共にきれいに熟成していきます。当店でご提供するワインやシャンパンは、二次流通品ではなく、品質管理の信頼性の高い「ワイン専門店」「ワインインポーター(輸入元)」「輸入販売元の代理店(卸酒屋)」から仕入れております。当店到着後は、3台のワインセラーにて保管しております。
・古いヴィンテージのワインが高級な理由
ヴィンテージが新しいものに比べ、古いヴィンテージのワインは比較的高価なことが多いです。
理由は3つあります。
①もともと長期熟成に向いているのは高級なワインが多いこと。
②熟成することでの保管コストがかかること。
③古いヴィンテージのワインは消費されて、希少性が高くなること。
高級なワイン+保管コスト+希少性の3つが揃うので、古いヴィンテージワインの価格が高い理由も納得です。

■ファースト・セカンド・サードラベル

ワインの銘柄(シャトー)によっては、「ファーストラベル」「セカンドラベル」「サードラベル」のボトルがある場合もあります。「ファーストラベル」「セカンドラベル」「サードラベル」について触れておきます。
特に、「セカンドラベル」「サードラベル」は、最低でも1本10万円前後となる「ファーストラベル」よりも「比較的手の届きやすい価格帯」のワインで、高級ワインの銘柄名や、ラベルの雰囲気も似ているようなワインです。それでも、数千円~数万円と、日常的にも飲めるワインから、日常的なワインとしてはちょっと高価なものまであります。そのため、人気があって、なかなか入手が困難な銘柄も多いです。お金持ち、ワインラヴァ―の方で、「ファーストラベル」や「ヴィンテージワイン(一般的には、年代物、古くて価値があるものの意)」を好まれる方には、物足りないかもしれませんが、量販店のワインよりも少し良い、本場のワインを味わって頂ければと思います。「ファーストラベル」のワインも少しはご用意していますので、特別な日にご利用頂けますと嬉しく思います。ただ、そうは言っても、「セカンドラベル」や「サードラベル」も、10万円を超えるものもあり、かなり高価になってきました。特に5大シャトーのセカンドラベル、サードラベルは、一般的には、デイリーワインとしては高価な存在となりました。ワインの一大産地のボルドー地方では、生産者が6,500軒を超えるといわれています。その中でも格付けに選ばれたシャトーはわずか61軒で、1%に満たないシャトーのみに認められています。1級シャトー以外の2級~5級シャトーにも良いワインは多くありますし、格付外のワインでも評価が高く、高価なワインも存在します。メドック地区の格付外のアペラシオンであるムーリスのシャトー・プジョーはその一例です。このようにワインのブランド(銘柄)は多く、商品も限りないくらい多くの種類がありますので、ここでは、5大シャトーのファーストラベル、セカンドラベル、サードラベル、そして、5大シャトーに関連するブランド(銘柄)の一部について触れてみます。
■セカンドラベル・サードラベルの特徴
用語の意味を知らずに「セカンドラベル」や「サードラベル」と聞くと、二番手・三番手のネガティブなイメージが強くなってしまいがちですが、素晴らしいファーストラベルのワインを製造する造り手の醸造スタイルや個性も近いワインだと知ると、これほど贅沢でお得なワインはないのかもしれません。ビギナーの方にはもちろん、ワイン上級者にも人気があるセカンドラベル・サードラベルはおすすめです。実はこのワインを知っていると、ワンランク上のワインライフを楽しむことができます。「ファーストラベル」は、長期の熟成期間や飲み頃の見極めが難しいことが多く、何年・何十年と寝かせて味わう楽しみがあります。しかしながら、今味わいたい、という気持ちは、何年も待つことができません。「セカンドラベル」「サードラベル」は、「ファーストラベル」よりも親しみやすい味わいになることが多いため、「今飲んでも美味しい」ことが魅力のうちの一つです。そしてやはり、造り手のスタイルはそのままに、「ファーストラベル」よりも価格帯が手に取りやすいことです。「ファーストラベル」と比較すると、日常的にも取り入れやすい価格帯なので、大人気の理由となっています。ワインは銘柄が多く、年代までを考慮するとさらに多くなります。正直、ワインに関する知識がないとワインの選定も難しいです。そのために、「ワインソムリエ」という職業が存在するわけです。残念ながら、当店には「ワインソムリエ」は在籍しておりませんし、ワインの好みも人それぞれだと思いますので、いろいろな種類を揃えるのではなく、ある一定の基準をもって品揃えをしております。それが、5大シャトーを中心とした「ファーストラベル」「セカンドラベル」「サードラベル」と、ジョイントベンチャーなど、その関連ブランド(銘柄)です。他にも、ウイスキーの抱き合わせ購入などの諸事情から、若干は、他の銘柄(随時変更あり)もありますが、ポピュラーな銘柄や有名な銘柄を中心に揃えてまいります。色々なブランド(銘柄)を比較して、本格的にワインを楽しまれたい方は、近辺にもワインバーがありますので、そちらをご利用ください。
■ファーストラベル
「ファーストラベル」のワインとは、造り手にとっての「最上級」のワインを指します。
フランス・ボルドー地方で例えると、シャトー(造り手)が各々に生産しているラインナップの中でも、「シャトーの顔」ともいえるワインです。シャトー・ムートン・ロスチャイルドや、シャトー・マルゴーなど、言わずと知れた銘柄はファーストラベルのワインです。ファーストラベルは、ブドウの樹齢やワインの熟成期間、新樽率などを吟味し生産される為、シャトーの中でも最高級の価格帯となります。
■セカンドラベル
「セカンドラベル」とは、フランス語ではSecond Vin(スゴン・ヴァン)といわれます。
セカンドラベルの魅力は、ファーストラベルと同じ造り手であることはもちろん、ファーストラベルの製造スタイルと個性をそのまま活かしたタイプであること、価格帯もファーストラベルより抑えられることです。威厳のある印象が強いファーストラベルのイメージを和らげ、セカンドラベルで造り手のスタイルを実感できるワインでもあります。ファーストラベルよりも生産量が少なく、世界的に稀少価値のあるセカンドラベルも多く存在しています。例えば、チリの生産者でもあるアルマヴィーヴァのセカンドラベル 「エプ」は、入手困難で超レアともいわれるほどの人気を博しているワインです。
ボルドー地方で使用される事の多いワイン用語ですが、このように他国のワインでも使用されることもあります。
セカンドラベルでは、ファーストラベルで使用されないブドウを使って、以下の規定により生産されています。
・ファーストラベルよりも樹齢の若いブドウから造られたワイン
・醸造初期の熟成段階で選別されたワイン
・ファーストラベルとは区別された特定の区画のワイン
■サードラベル
「サードラベル」は、セカンドラベルとは少々異なり、明確な規定がないことも特徴の一つです。
サードラベルはセカンドラベルよりも価格帯はさらに抑えられながらも、造り手のスタイルは保ちながら、「親しみやすいカジュアルワイン」という印象のワインです。中には、セカンドラベルの品質と人気がファーストラベル同様に上がり、サードラベルを生産するまでになったワインもあります。サードラベルはセカンドラベルよりもさらに少量生産で稀少性が高くなっている為、入手困難な場合もあります。
普段手の届かないような有名シャトーのサードラベルは、発売するとすぐに売り切れてしまうほど爆発的な人気があります。メドック格付3級、いわずと知れたハートラベルが有名な人気のカロン・セギュールが手掛けるサードワイン「サン・テステフ・ド・カロン・セギュール」も人気のワインです。より気軽に、偉大なる造り手のワインを手にすることができるので、セカンドラベル同様にサードラベルの人気が伺えます。

■5大シャトー(関連含む)と、そのセカンドラベルとサードラベル

①シャトー・ラフィット・ロートシルト(ロスチャイルド)
シャトー・ラフィット・ロートシルト(ドイツ語読みロートシルト、英語読みロスチャイルド)(ポイヤック)(1st)
1855年のメドック格付けが決定した際、第一級の首位の座に輝いた、不屈の栄光を誇るシャトー・ラフィット・ロスチャイルドです。その基礎を築いたのは、1670年から1784年まで所有していた、ボルドーの有力者、アレクサンドル・ド・セギュール氏とその息子ニコラスアレクサンドル氏です。1868年に、ジェームズ・ロスチャイルド男爵が厳しい競売の末に勝ち抜いて落札して以来、シャトーの栄光はロスチャイルド家によって守られています。
1974年からオーナーとなったエリック・ド・ロスチャイルド男爵は、除草剤の排除や、ステンレスタンクの導入、当時では画期的な円形セラーの建設等、様々な革新的な技術を取り入れたパイオニアでした。そのエリック氏から2018年に引き継いだ6代目のサスキア・ド・ロスチャイルド氏もまた、グローバルな視野を持ち、新しい革新的な取り組みを行っています。GPSを使った新技術の試験導入や、ファー・プロジェクトと呼ばれる、気候変動を意識した取組みにおいて植密度の見直しや新しい品種やクローンの栽培検証も実施しています。ビオディナミ農法やアグリエコロジーの実践等、過去から未来へ繋いでいくサステナビリティを意識した取組みも始まっています。現代的な醸造法を多く試み、また取り入れたものを廃しながらも、そこで重要視されているのは、圧搾ワインの質を重視することです。設備投資や栽培地の再編時にも、葡萄そのものへのアプローチを重視するという哲学が取り入れられています。ラフィットを形容するとき「気品」という言葉なくしては語れません。10年の熟成にもなんなく耐えうる熟成ポテンシャルを秘め、長期熟成を遂げたその味わいは、ボルドーの真髄ともいえるエレガンスを体現しています。
・カリュアド・ド・ラフィット(2nd)
メドック格付け第一級であり、左岸の王者と讃えられる「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」のセカンドラベルです。ラフィットの畑で収穫される葡萄のうち、ファーストに使用されるのは僅か約3割、その残りをさらに厳選し約4割がこちらのセカンドに使用されます。ラフィットを思わせる優美でクラシックなスタイルを見事に表現しています。
②シャトー・ラトゥール
シャトー・ラトゥール(ポイヤック)(1st)
格付け第一級の一角にして、その序列に揺さぶりをかけるシャトー・ラトゥールです。そのスタイルは、「常に最高級、力強く、荘厳」といえます。ロバート・パーカー氏曰く「世界で最も凝縮感のある豊かで、フルボディなワインの1つ」と形容されるワインは、どのヴィンテージを味わってもシャトー・ラトゥールと即座に分かる鮮烈な個性を放っています。
ラトゥールの評価が高まったのは、18世紀初頭に、「葡萄の王子」と呼ばれたニコラ・アレキサンドル・ド・セギュール侯爵の所有となった頃でした。セギュール家は、同じく後に1級シャトーと格付けされた「ラフィット」なども傘下に収めていて、シャトー「マルゴー」を除いたメドックの有名シャトーは、全てセギュール家が所有する時期もありました。彼の死後、所有者は移り変わっていきましたが、シャトーへの高い評価は失われること無く、現在でも世界中のワイン愛好家から愛され続けているのです。
1962年から30年に渡りイギリス資本でしたが、1993年に現オーナーであるフランソワ・ピノー氏が買収します。その後1998年にそれまで3年ほどワイナリー経営に参画していたフレデリック・アンジェラ氏が社長に任命されると、様々な改革を実施します。約3年の時間をかけ、醸造蔵、熟成庫、ストックスペースの全改築を行いました。
さらに2010年には、グラン・ヴァン(Grand Vin、偉大なワイン)を生み出すランクロ(有名な畑の名前)の畑をビオディナミ(有機農法、オーガニック)に、2016年からは所有畑全体をオーガニックに転換します。2018年には格付け一級シャトーで初めてエコセール(ECOCERT、フランスに本拠地を置き、世界の20か国以上に認定機関を持つ世界最大の国際有機認証機関)のビオロジック認証(ブドウ栽培において農薬、化学薬品、化学肥料や除草剤等を使わない栽培法)を獲得し、一層緻密なブドウ栽培を実現します。また、2012年ヴィンテージ以降は「最高のブレンドを追求する」、「最高の飲み頃で味わって欲しい」などの理由から、ボルドーの多くの一流シャトーが行っているプリムール販売(フランス語で新酒を意味し、樽で熟成中のワインを一部先行販売するボルドー独自のシステムのこと)から撤退します。これらの取り組みが象徴するように、シャトー・ラトゥールは、フレデリック・アンジェラ氏の完璧なまでの品質主義により、常に最高の品質を追い求めています。
シャトー・ラトゥールが所有する3つの畑は、ポイヤック村の南部、サン・ジュリアン村の境目、ジロンド河沿いに位置します。水はけのよい「粘土質砂礫土壌」、よりきめ細かい「砂礫砂土壌」、メルロに適した「泥灰粘土土壌」という3つの要素で構成されています。砂礫だけでなく粘土質の土壌が地中に水分と栄養を保つため、水分不足に悩まされる年でも畑を活き活きとした状態に保ち、果実を最適な成熟状態へと導くことができるのです。なかでもファーストワインであるシャトー・ラトゥールに使用されているのは、 所有する93haの畑のうち丘の上部にあたる中心部47haの「ランクロ」と呼ばれるエリアで育った葡萄です。この土壌は特に砂礫質土壌が多く、カベルネ・ソーヴィニヨンの生育に最も適しており、濃い色、豊かなタンニンを備えた逞しい果実を育てます。
そして、3つの畑で栽培されている5万本もの葡萄樹は、区画や畝ごとではなく葡萄樹1本単位で管理されています。あえて植密度を高くし葡萄樹の生命力を高めています。1つの区画に様々な樹齢の葡萄が混在しているのも特徴です。中には100年を超える古樹も存在しますが、常に若樹を育成し植え替えを行っています。それはラトゥールが常に進化を遂げていることの証であり、並々ならぬ忍耐と精巧さをもって入念な管理がされているのです。
・レ・フォール・ドゥ・ラトゥール(2nd)
鮮烈な個性を放ち続け、名実ともに世界最高峰のワインを生み出す格付け第一級、「シャトー・ラトゥール」のセカンドワインです。100年以上に渡って大切に守られてきたファーストワインの畑を囲む区画で育つ、樹齢400年を超える優良な葡萄を使用し、ファーストワインとの醸造の違いは新樽率のみという贅沢な造りで仕立てられます。支配人であるフレデリック・アンジェラ氏自身が、もはやセカンドワインと呼ぶことを躊躇する、高いレベルに達した逸品です。
・ポイヤック・ド・ラトゥール(3rd)
格付け第一級の一角にして、その序列に揺さぶりをかける「シャトー・ラトゥール」です。ラトゥールの真髄を感じられる、稀少なサードワインです。ポイヤックらしい重厚感と骨格が表現され、上質な雰囲気があり、シャトー・ラトゥールのワインのエッセンスを手の届く価格で楽しむことができます。
■③シャトー・マルゴー(マルゴー)(1st)
5大シャトーの中で特に高貴でエレガントと称される「ボルドーの宝石」ともよばれています。華やかと力強さを備える、優美な仕上がりのメドックの女王といえます。
パリ万博の格付けにて最高の格付け第一級を獲得した、シャトー・マルゴーです。その際に行われたテイスティングでは唯一満点評価を受け、最高級の格付け第一級を獲得、名実ともにボルドーワインの頂点へ登り詰めた至高のシャトーです。「ワインの女王」と呼ばれるボルドーワインの中でも、「女性的なワイン」とも形容される優美なスタイルで、マルゴー特有のエレガンス極まる味わいをご堪能いただけます。
1855年の格付け当時から5大シャトーの先頭を争う高貴なワイン、シャトー・マルゴーです。若いうちはタンニンに堅くガードされており、飲み頃を迎えるまでに時間を要しますが、長期熟成を経て現れるうっとりとするような滑らかな舌触り、そして豊かな味わいは多くのワインラヴァーの心を掴んで離しません。
ワイン愛好家を虜にする、そんなシャトー・マルゴーは、2006年からマルゴー特有のエレガンスを最大限に引き出すため、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率を高めており、造られるワインも新樽率100%というこだわりです。また収穫においても選果をさらに厳しくし、ファースト・ラベルに使われる葡萄は全体の僅か35%前後です。素晴らしいテロワールで育ち、極めて厳しい選果をクリアした珠玉の葡萄だけをグラン・ヴァンに使用しています。口当たりの滑らかさ、そしてしっかりしたボディと繊細さを備えた味わいです。並外れたタンニンは、非常にしなやかで、柔和で優しく最後まで残ります。「ワインの女王」と呼ばれるボルドーワインの中でも、シャトー・マルゴーは重厚な芳香ながらもふくらみがあり、柔らかく、優美な「特に女性的なワイン」とも形容されるワインです。
30年にわたりシャトー・マルゴーの最高醸造責任者を務めた故ポール・ポンタリエ氏は、シャトー・マルゴーを「ベルベット(高級織物の一種)の手袋の中の鋼鉄の拳」と表現しています。そのように女性らしくも力強さを秘めたワインと形容される理由は、第1に優雅で香り高い、マルゴー特有のエレガンスです。それに加えて、たっぷりとした果実味と豊富なタンニンを備えていることからです。
ポンタリエ氏が「上質な葡萄果実が手に入れば、醸造はその表現を最大限に引き出すことに全力を尽くすだけだ」と語るように、素晴らしいテロワールを活かしたワインを造るために、栽培から醸造まで全てを徹底しています。そうして生み出されるのがグラン・ヴァン、シャトー・マルゴーなのです。
マルゴーはメドックの最も南、ジロンド河の上流に位置する村で、畑が位置するのも内陸寄りです。砂利質土壌に入り混じった、石灰質や粘土質の土壌が味わいに陰影を与えています。広い村ですが葡萄畑の面積は村の約2割程度であり、五大シャトーの一つ、シャトーマルゴーをはじめとするシャトーが点在しています。そのため、シャトーごとのテロワールも異なり、様々なタイプが存在するアペラシオン(原産地統制呼称)です。よくマルゴーのワインは「女性的」という表現をされますが、実際に飲んでみると多くのワインが非常に厳格な印象があり、「華やかだが、芯は強い」そんな深い女性像を思わせます。
・パヴィヨンルージュ・デュ・シャトー・マルゴー(2nd)
5大シャトーの中で特に高貴でエレガントと称される、「ボルドーの宝石」と呼ばれる「シャトー・マルゴー」のセカンドラベルです。評価も非常に高く、1980年代以降、高得点を連続して獲得しています。ファーストに比べメルロの比率が若干高く、肉付きの良い柔らかなスタイルが特徴です。芳醇な果実味と上品で長い余韻に包まれ、深い味わいをお愉しみいただけます。シャトー・マルゴーのセカンドラベル、『パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー』は1908年から造られています。1930年代から一時期造られていなかったようですが、1977年に再開されました。
・マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー(3rd)
「シャトー・マルゴー」のサードラベルです。2009年ヴィンテージの質が素晴らしく最高のグラン・ヴァンをつくりたい、という思いから、サードラベルが登場しました。樽で15ヶ月熟成されました。生産量が限られている為、各国とも、販売ルートが限定されています。
※1stのさらに上 パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー
5大シャトーの中で特に高貴でエレガントと称する、「シャトー・マルゴー」が、ソーヴィニヨン・ブラン100%で造る白ワインです。生産量はマルゴーの5分の1という稀少なワインです。ソーヴィニヨン・ブラン単一とは思えないその高貴で純粋な味わいは、「王妃」や「花嫁」に喩えられるほど。特に熟成のポテンシャルはボルドーの白ワインの中でも突出しており、30年は熟成するといわれています。
■④シャトー・ムートン・ロートシルト(ドイツ語読みロートシルト、英語読みロスチャイルド)(ポイヤック)(1st)
ボルドーのメドック格付け第一級、シャトー・ムートン・ロスチャイルドです。5大シャトーの中でも特に豪奢(ごうしゃ、大層ぜいたくで、はでなこと)で明朗、堂々たる味わいのスタイルを持ち、常に時代の一歩先をリードしてきました。また、毎年発表されるアートラベルや、ボルドーを飛び出して行われているジョイントベンチャーなど、彼らの挑戦する姿勢はワインラヴァーの心を掴んで離しません。シャトー・ムートン・ロスチャイルドのヴィンテージごとに異なる稀代の芸術家が造り上げたアートラベルは、様々な記念日を祝うワインとしても、深い意味を持ちます。是非ご結婚数十周年のお祝いや誕生日など、大切な日を迎える方のために、記念となるヴィンテージを贈られることも多いです。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドほど、オーナーたちの逸話が語られるシャトーはありません。その歴史において、強烈な個性をもつ歴代のオーナー達が、天賦の才能と努力によってその名声と価値を高めてきました。
その筆頭が、弱冠20歳でシャトーを継ぐことになったフィリップ男爵です。パリで暮らしていた彼がボルドーのシャトーを継ぐことになった時、最初に行ったのは何世紀もの歴史を持つ中間業者による瓶詰制度を廃止し、シャトー元詰めを始めたことでした。今では当たり前に行われているこの手法によって、ワインの質は劇的に向上し、他のシャトーが追随することになりました。また、セカンドワインの始まりといわれる「ムートン・カデ」を生み出し大成功しました。フィリップ男爵は1988年に亡くなるまでの60年間以上に渡り、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの品質の向上に尽力し、その繁栄を築き上げました。
また、父の亡き後シャトーの運営を任された一人娘、フィリピーヌ男爵夫人は、舞台女優としての芸術的センスと人脈を生かしてキース・へリングやフランシス・ベーコンといった当代の気鋭芸術家にラベルデザインを依頼し、アートラベルの新時代を築きあげました。また、フィリピーヌ男爵夫人は醸造施設の刷新に加え、いとこであり、ライバルであるラフィット・ロスチャイルドのエリック・ド・ロスチャイルド男爵と共に、ロスチャイルド一族の名を冠したシャンパーニュ「バロン・ド・ロスチャイルド」をリリースし、2013年にはマスター・オブ・ワイン協会から女性として初めてのライフタイム・アチーヴメント賞を受賞するなど、ワイン界に多大なる影響を与え続けた女傑として知られています。
フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵(1902年〜1988年)、そして男爵の娘であるフィリピーヌ男爵夫人(1933年〜2014年)、偉大なる先代二人の意志を引き継いで、現在は夫人の3人の子供たち(カミーユおよびフィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド、ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルド)が、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの運営指揮を執っています。祖父と母から託されたシャトーに忠誠を誓い、そして決意を新たに、祖父フィリップ男爵の言葉、「Vivre la vigne(葡萄畑に生きよ)」をモットーにしています。どんな時も常に畑に寄り添い、技術の力を生かして畑を支え、芸術の力を借りて畑を敬いながら、精力的にシャトー運営に取り組んでいます
シャトー・ムートン・ロスチャイルドといえば、毎年変わるアートラベルにコレクターが多いことでも知られています。シャトー元詰めが始まった記念すべきヴィンテージである1924年に描かれたのが、ポスター作家ジャン・カルリュによるラベルです。その20年後、第二次世界大戦が終わりフランスが解放された1945年には、チャーチルのVサインを表すラベルが選ばれました。その後も、ミロやピカソ、シャガールといった著名な芸術家たちが、素晴らしい芸術作品を提供してきました。その時代を生きるアーティストたちが思い思いに描くラベルはそれぞれの時代の世相を反映した貴重な歴史でもあります。こうしたアートラベルは、世界に類を見ないワインをテーマとした膨大なアートコレクションと共に、1962年に完成したシャトー内の美術館に展示しています。ボルドーの文化遺産の象徴として、数多くの訪問者を引き寄せています。
シャトー・ムートン・ロスチャイルドをトップシャトーに押し上げた伝説の人物である、フィリップ男爵は、その卓越した先見の明によってアメリカ・カリフォルニアに進出します。カリフォルニアワイン界の重鎮、ロバート・モンダヴィ氏とタッグを組んで夢のワインを生み出しました。それがオーパス・ワンです。リリース以来世界の注目と熱狂を集め、世界屈指のプレミアムワインとしての地位を確立しました。
続いて1997年に誕生したワインがアルマヴィーヴァです。世界中でも優れた品質のカベルネを生む土地を探してようやく見つけたチリの畑で、チリ最大規模を誇るワイナリー、コンチャ・イ・トロ社とのジョイントベンチャーにより生まれました。
こうしたジョイントワインの成功は、世界のワイン界の序列を塗り替えたと言われるほどのインパクトを与えました。ボルドーのみならず世界にまで活躍の場を広げたワインビジネスの展開こそが、シャトー・ムートン・ロスチャイルドが、他のボルドーシャトーや、格付け第一級シャトーと一線を画す所以でもあります。
・ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト(2nd)
秀逸なテロワールから生まれる「シャトー・ムートン・ロートシルト」のセカンドラベルは、ファーストを彷彿とさせる濃厚でしっかりとした骨組みと複雑な香り、力強いニュアンスを存分にご堪能いただけます。葡萄の質の高さを感じる、濃縮した旨味を備えた仕上がりです。
●ムートン・カデ(デイリーワイン)
ボルドーは収穫期に雨が降ってしまうことも多い、葡萄栽培が難しい土地です。なのでメドック地区のトップの一角に君臨する「シャトー・ムートン・ロートシルト」といえども、満足のいくワインがつくれない、いい葡萄が穫れなかった年もあります。この葡萄では、いつもムートンを楽しみにしている顧客を満足させられない。
そこで考えたのが、弟分(=カデ)のグレードのワインをつくることです。「ムートン」の看板ブランドを守るため、その基準に達しないワインを安く販売したのです。これが「セカンドワイン」の先駆けだといわれます。
現在は「ムートンのチームがつくるデイリーワイン」という位置づけに変わり、正式なセカンドワインは別銘柄となりました。それでもムートンのブランドを冠したワインの一つであり、知名度も入手性も抜群です。
ラズベリーやブルーベリーの香りに、ハーブやバニラのニュアンス、スムースな果実感に程よい酸味と控えめに主張するタンニン、ボルドーの赤ワインとして教科書的な、安心感のある味わいです。
自分の好みを表すとき、「ムートン・カデみたいなワインが好き」といえば、殆どのワイン好きにはきちんと伝わるはずです。
●オーパス・ワン
ボルドーメドック格付け第一級、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵とカリフォルニアワイン界の重鎮、ロバート・モンダヴィ氏という2人の巨匠が描いた夢のワインがオーパス・ワンです。オーパス・ワン・ワイナリーは、2人の巨匠が夢見たコラボレーションで誕生した、他を寄せつけない、最高級カリフォルニアワインとしてのその圧倒的存在感は、すべてのワイン愛好家の垂涎(すいえん)の的となっています。世界の注目と熱狂を集めカリフォルニアワイン業界を牽引してきたオーパス・ワンは、まさに世界屈指のプレミアムワインです。
1970年代にハワイでの会議にて、シャトー・ムートン・ロスチャイルドの当主だったフィリップ男爵が出会ってすぐに意気投合したのが、ファミリーから独立し自身のワイナリーを設立して間もないロバート・モンダヴィ氏でした。生まれも育ちも全く異なる2人でしたが、ワインや芸術に対する想いには共通する熱いパッションがあり、出会ってから数年後の1978年に2人の夢は実現します。1984年にファーストリリースの1979年ヴィンテージと1980年ヴィンテージが発売されました。
オーパス・ワンは2人の巨匠がこの世を去った後も独立した経営体制を貫き、彼らが掲げた「新世界と伝統的産地が誇るワイン造りのアイディアを組み合わせることで、最高品質かつ唯一無二のワインを造る」という目的を追求しています。新たな技術を取り入れながら、その年々の特徴とオーパス・ワンが誇るテロワールを精密に映し出した、偉大な作品を世に送り出しています。
その弛まぬ努力の結果、ここ10年ほどでオーパス・ワンは着実に進歩を遂げており、終わることのない夢は脈々と受け継がれているのです。
オーパス・ワンという作品を生み出すために掲げている、重要なコンセプトが「TIME&PLACE」です。TIME(時)は、偉大なワインの根幹にある凝縮感と複雑性が、葡萄の成熟していく季節の経過、すなわちヴィンテージの個性としてもたらされることを示しています。PLACE(場所)とは、地質、気候などオークヴィルという土地に横たわっているテロワールです。それがあたかも単一畑から生まれたワインであるかのように一体感を持って感じられることを指しています。
そして、この「TIME&PLACE」という2つの要素を繋ぎとめるのが「人」です。栽培から醸造に至るまでに、栽培者や醸造家などワイン造りに携わる様々な「人」を介することで、初めて最高のワインが生まれるのです。
オーパス・ワンの自社畑は、オークヴィルAVA(American Viticultural Areaの略で、アメリカ合衆国政府の認定した葡萄の栽培地域)の西部、著名なトカロン・ヴィンヤードを含む4つの畑からなります。葡萄畑では、手摘みをはじめとする伝統的なアプローチを導入しています。ワイン醸造においては近代的技術がより効果的である場合は、リサーチと評価・判断の上、新しい手法を常に取り入れています。
現在、醸造責任者を務めるのは、2001年からオーパス・ワンに携わっているマイケル・シラーチ氏です。彼はオーパス・ワンを任されるにあたり、初ヴィンテージから最新ヴィンテージに至るまでの全てのヴィンテージをテイスティングし、そのスタイルを徹底的に分析しました。オーパス・ワンのスタイルを継承しつつも、科学的な検証の基、ナイト・ハーヴェストやビオディナミとオーガニックを併用した自然な栽培方法に取り組むことで細部に手を伸ばし、ワインの洗練度に磨きをかけ続けています。ナイト・ハーヴェストとは、真夜中の果実が冷え切っている時に葡萄を摘み、ブルゴーニュ製法の樫樽で仕込む日本国内では珍しい(近年は増えている)特別な技法です。 夜中に摘むことで、高い糖度はもちろん、完熟した シャルドネのみが持つ溢れんばかりの果実感と、濃縮されたフレッシュな香りを逃がさず ワインに映し出すことができます。
また、2021年には、従業員、地域社会、そして地球にとって最も大切な行動や活動を明確にした「2030年ビジョン」を打ち立て、葡萄畑からワイナリーに至るまで様々なサステナブルな取り組みを実施しています。2022年には「ナパ・グリーン・ヴィンヤード」と「ナパ・グリーン・ワイナリー」の両方の認定をナパ・ヴァレー(サンフランシスコ北部に位置し、カリフォルニア ワインの生産地として名高い地域)で初めて取得しています。
・オーパス ワン オーヴァーチュア(オヴァーチュアオーヴァチャー、オーパスワンのセカンド)
序曲を意味するオーパスワンのセカンドラベルです。オーヴァチャーは、オーパスワンに使われるボルドー品種 (カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、マルベック、プティ・ヴェルド) のブレンドで造られています。生産量が限られ、毎年生産されているわけではないため、オーパスワン以上に入手困難な希少品となっています。
●アルマヴィーヴァ
シャトー・ムートン・ロスチャイルド、オーパス・ワンと同じコンセプトで造られるチリ最高峰のプレミアムワインです。力強くフィネスに溢れるスタイルです。オーパス・ワンに続く豪華コラボレーションによって生み出された、高品質チリワインを代表する偉大なワインがアルマヴィーヴァです。ボルドー最高峰の技術とチリ最高のテロワールの融合によって生み出されるワインは、パワフルさに加えて、エレガンスも感じる味わいに仕上がっています。熟成のポテンシャルにも秀でています。アルマヴィーヴァは、ボルドーワインの頂点の一つ、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社と、チリ最大かつ最高のワイナリー、コンチャ・イ・トロ社とのジョイント・ベンチャーにより、1998年に誕生しました。
同じくバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社がロバート・モンダヴィと手を組んだ、世界的に入手困難なカリフォルニアワイン、オーパス・ワンに続く豪華コラボレーションとして、リリース当初から現在に至るまで注目を集めています。高品質チリワインを代表する、偉大なプレミアムワインです。
チリにはフランスのように「格付け」というシステムがないものの、アルマヴィーヴァの存在によって、チリでも「一級ワイン」と呼べるようなワインを造ろう、という意識がより高まったことは事実です。アルマヴィーヴァのワイン造りには、葡萄に対する徹底した品質管理はもちろん、充実した醸造施設、有能なテクニカル・チームなどフランスの技術や伝統が息づいています。
ワイナリーが位置するのは、標高630mに広がるボルドー品種の栽培が盛んなチリワインの中心的エリア、「マイポ・ヴァレー」です。さらにその小さな区画にあたるマイポ川北岸、プエンテ・アルト地区に約85haの専用畑が広がります。この「マイポ・ヴァレー」の地は何世紀にも渡り、アンデス山脈からの堆積物が蓄積し形成されました、古く複雑な土壌です。火山質、粘土質、石や砂利などが多く入り混じっており、中には約70%が石という構成の区画もあるため、カベルネ・ソーヴィニヨンにとって最適な土壌となっているのです。チリで最も重要なワイン産地はどこか、と聞かれてマイポ・バレーと答える人は少なくないです。チリの首都サンティアゴのちょうど南に位置するマイポ・バレーは、リーズナブルでカジュアルというチリのイメージを覆す高品質ワインを生んでいます。しばしば「南アメリカのボルドー」ともいわれ、果実味主体のリッチなカベルネ・ソーヴィニヨンが特徴です。
・エプ(アルマヴィーヴァのセカンド)
アルマヴィーヴァのセカンドワインがエプです。エプとは、チリの先住民族であるマプーチェ族の言葉で 「2番目」という意味で、多くのボルドーの格付けシャトーが造るセカンドワインのように、アルマヴィーヴァと同じ地区で育てられる良質なブドウから仕立てられた第2のワインという位置付けとなっています。エプはもともと、ワイナリーにあるワインショップのみでひっそりと販売されていた門外不出のワインで、徐々に広まった評判を受けて国外への輸出が決定しました。その初輸出先として決定したのが日本であり、2006年ヴィンテージが初お披露目となりました。ブレンドは、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、カルメネール、カベルネ・フラン、メルロをブレンドしています。ファーストラベルのアルマヴィーヴァに比べ、樹齢の若い樹のブドウを使用することで、より親しみやすく、リリース直後の若いうちから楽しめるスタイルに仕上がっています。ファーストラベルよりも生産量が少ないために、その稀少性から世界中で支持されており、ワインラヴァー垂涎の的となっています。

■⑤シャトー・オー・ブリオン(ペサック・レオニャン)(1st)
オー・ブリオンはボルドー市内のすぐ南に位置するシャトーです。地区としてはペサックになります。畑で栽培されているのは、メルロー45%、カベルネ・ソーヴィニヨン44%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド1%です。クローンの選別に早くから注意を払っており、1975年にはINRA(フランス国立農学研究所)と連携し、クローンの栽培・研究を行ってきました。現在は実験も含め500種以上のクローンを栽培しています。自然酵母で発酵を行っていますが、醗酵時の温度管理は大切です。オー・ブリオンでは1961年にボルドーで初めてステンレスの醗酵槽が使われるようになりました。これにより醗酵温度が管理しやすくなりました。醗酵後にそれぞれのタンクを注意深く試飲し、先を見据えながらグラン・ヴァンとセカンドラベルのキュヴェに選別していきますが、若木の区画のキュヴェがセカンドに使われる事が多いです。その後マロラクティック醗酵(ワインの2次的発酵過程)を行い、年によりますがグラン・ヴァンは新樽にて20か月熟成されます。オー・ブリオンでは、自らのセラーで熟成用の樽を作っています(一部か全数かは不明)。格付けは赤のみですが、白も人気が高いです。
ファーストラベルの「シャトー・オー・ブリオン」のセカンドラベルが、「Le Clarence de Haut-Brion(ル・クラランス・ド・オー・ブリオン」です。1935年にシャトーのオーナーとなったクラレンス・ディロン氏の名前がつけられています。2007年からはこの名前ですが、2006年ヴィンテージまでは、「Chateau Bahans Haut-Brion(シャトー・バーンス・オー・ブリオン)」という名前で販売されていました。熟成は20~25%新樽にて18~22か月です。年間平均生産量は6,000本~84,000本です。
「Chateau Haut-Brion Blanc(シャトー・オー・ブリオン)」は、3ヘクタールにも満たない小さな畑で造られる、ボルドーで最も高級な辛口白ワインのひとつです。葡萄は、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランがほぼ50%ずつで、熟成は新樽50%にて9~12ヵ月です。年間平均生産量は5,400本~7,800本です。
「La Clarte de Haut Brion(ラ・クラルテ・ド・オー・ブリオン)」は、シャトー・オー・ブリオン白とシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン白のセカンドラベルです。2009年がファーストヴィンテージです。 2008年ヴィンテージまでは「Les Plantiers du Haut-Brion(レ・プランティエ・デュ・オー・ブリオン)」という名前で販売されていました。熟成は40~50%新樽にて9~12ヵ月です。年間平均生産量は12,000本~14,400本です。
・シャトーオーブリオンの歴史
1855年、メドック地区にあるシャトーの中から格付けを決める際に、このシャトー・オー・ブリオンだけが特別にメドック以外のグラーヴ地区から1級に選ばれた、という所からも当時のオー・ブリオンが高く評価されていたことがうかがえます。
オー・ブリオンは珍しくその歴史の始まりがはっきりしています。
1525年にボルドー議会の職員であったジャン・ド・ポンタックがリブルヌ市長の娘ジャンヌ・ド・ベロンと結婚した時、ジャンヌが持参したのが「オー・ブリオン(Haut-Brion)」と呼ばれる土地でした。そして、1549年に現在のシャトーの建設が始まり、1649年からオーナーとなったポンタック家のアルノー3世の時代にワイン造りが始まりました。彼がスーティラージュ(澱引き)やウイヤージュ(補酒、ワイン醸造において、樽熟成させる場合、蒸発により目減りしたワインを定期的に補填する補酒のこと)を始めた事により、より良い長期熟成が可能になったため、イギリス市場で人気が高まりました。チャールズ2世の時代(在位1660年5月29日~1685年2月6日)には王室でオー・ブリオンがサービスされたという記録も残っています。18世紀の終わり頃からボトリングがシャトーで行われるようになったため、熟成もシャトーで管理できるようになりました(当時ボルドーのワインは熟成させる前に樽で販売されていましたが、オー・ブリオンが先駆けて瓶熟成を行う様になりました)。
オー・ブリオンは、ナポレオン戦争で敗れたフランスの救世主となります。国の崩壊という危機に追い込まれていたフランスの外相タレーランは、敗戦国の処遇を決める1814年の「ウィーン会議」で、連日連夜、各国代表に豪華な料理とオー・ブリオンを振る舞いました。これによって各国代表も態度を軟化させ、フランスは敗戦国でありながら領土をほとんど失うことなく乗り切ることができたのです。まさに「フランスの救世主」ともいえるオー・ブリオンの名声は、瞬く間にヨーロッパ全土に広まっていきました。特例としてメドックの格付1級に加えられているのも当然のことなのかもしれません。
フランス革命(1789年7月14日から1795年8月22日にかけて起きた市民革命、ブルジョア革命)の際にオーナーのジョセフ・ド・フュメルが処刑(処刑された背景は後述)された後、所有者は彼の親族から転々としますが、1836年から1922年まで、ラリュー家がオーナーとなり、その間1855年に格付け1級に選出されます。そして、1935年にニューヨークの銀行家、クラレンス・ディロン氏がシャトーを購入します。その孫娘ジョアン・ディロンがルクセンブルグ公国の殿下と結婚し、シャトーを引き継ぎ、現在はジョアンの息子であるロベール殿下(ルクセンブルク大公国皇太子)がオーナーを務めています。
近年のオー・ブリオンのワイン造りを支えてきた支配人のデルマス一族は、ジョルジュ・デルマス、ジャン・ベルナール・デルマスと引き継がれ、現在はジャン・フィリップ・デルマスが支配人を務めています。
※フランス革命(ジョセフ・ド・フュメルが処刑された時代背景)
当時のオーナーのジョセフ・ド・フュメルが処刑されたフランス革命について、少し触れておきます。
フランス革命以前は国王がフランスの5分の1の領土を持つ最大領主でした。その国王のまわりで権力を組織していた宮廷貴族は国王に次ぐ大領主であり、減免税特権の最大の受益者でした。財政支出の中から宮廷貴族の有力者は、巨額の国家資金を様々な名目で手に入れました。しかし、財政はイギリスとの対外戦争と宮廷の浪費によって悪化し,特にアメリカ独立革命を支援したことで国家財政が破綻し、もはや支払うべき財政資金がなくなりました。権力を握っていた宮廷貴族は自分の減免税特権を温存し、ブルジョワジー(中産階級)以下の国民各層に対して負担をかぶせようとしました。そこで「権力を取らないことには自分たちの破滅につながる」と感じた商工業者や金融業者が、国民の様々な階層を反乱に駆り立てて、領主の組織する権力を打ち破った一連の変化を「フランス革命(ブルジョア革命)」といいます。
フランス革命とは、フランス王国で1789年7月14日から1795年8月22日にかけて起きた市民革命です。フランス革命記念日(パリ祭)はフランス共和国の建国記念日でもあり、毎年7月14日に祝われています。
フランス革命を代表とするブルジョア革命は、封建制的な残留物(身分制度や領主)を一掃し、資本主義の発展(法の下の平等・経済的自由権・自由な私的所有権など)、ブルジョア憲法の確立(国民主権・権力分立・経済的自由権等の人権保障を中心とする原理で、典型例としてフランス憲法)を成し遂げました。
18世紀、アメリカ人と同じく(アメリカ独立革命)、フランス人も王政をくつがえすことを望んでいました。フランスの不公正な階級制度にうんざりしていたからです。イギリスと同じように、フランスは戦争(フレンチ=インディアン戦争)による負債を抱えていました。その返済方法について話し合うため、1789年5月、フランス王ルイ16世は、三部会と呼ばれる会議を招集します。この会議には、フランス社会の3つの身分から代表者が参加しました。
第一身分は、聖職者です。貧しい主任司祭と、貴族出身の枢機卿や司教が交じっていて、人口全体に占める割合は、いちばん少なかったです。 
第二身分は、貴族です。第一身分よりは割合が多く、フランスの土地のおよそ4分の1を所有していました。
第三身分は、農民、職人、社会の中産階級メンバーです。フランス人口の9割以上を占めていましたが、ほかの身分と比べて、所有する土地はものすごく少なかったです。住む土地をまったく持たない人も多かったのです。
第三身分の人々は、貴族に与えられた特権に怒りました。第一身分も第二身分も、タイユと呼ばれるフランスの土地税を支払う義務がなかったのに、いちばん貧しい人々だけが税金を支払っていたからです。1787年と1788年の不作は、食料の不足、食品価格の上昇、失業を招きました。それでも、王は、派手な娯楽や贅沢な夕食にお金を使いまくっていました。人々が食べ物に困っているときに、ルイ16世と妻のマリー=アントワネットは、パーティーに明け暮れていたといいます。しかし贅沢な暮らしそのものは、王侯貴族にとっては普通のことでした。マリー・アントワネットが国庫を揺るがすほど散財していたわけではないようです。彼女はベルサイユ宮殿内の無駄なしきたりを簡略化するよう務めたり、宮殿内に作った村里での素朴な暮らしを愛したり、貧しい人への慈善活動も行うなど「その後」の彼女のイメージとは異なる一面もあったようです。しかし王女として生まれ、王妃となった彼女は贅沢な暮らししか知らないので、生活にあえぐ民衆の心を本当に理解していた、ということではなかったはずです。
王の統治体制にうんざりし、変革を望んでいた第三身分の人々は、1789年6月、みずからを国民議会と名乗りはじめます。簡単にいえば、フランスの新しい運営機関です。フランス革命期の国民議会(設立1789年6月17日~廃止1789年7月9日)は、1789年6月17日に全国三部会の第三身分議員が組織した革命議会です。1789年7月9日に憲法制定国民議会と改称した後(1791年9月30日に立法議会に取って代わられるまで)はその略称となりました。国民議会は、アメリカの新しい民主政に基づき、政府を立ち上げました。こうして、フランスは人権宣言(人間および市民の権利の宣言)と呼ばれる文書を記すことになります。1789年8月に採択された人権宣言は、「自由、所有権、安全、圧政への抵抗」といった、基本的人権を認めたものです。
その結果、多くの貴族や聖職者がフランスを離れ、プロイセンやオーストリアなどの国々に、フランスへと攻め込むよう説得しました。すると、フランス政府は、こうした軍を支援したとして、フランス国王を逮捕しました。新しい憲法は、1791年に制定され、立憲君主制(君主の権力が憲法によって規制されている政体)を求めました。つまり、王は相変わらず存在していたけれど、法律をつくる立法議会の権力によって力を制限された、ということです。とはいえ、この新しい政府も、一定の税金を支払っている25歳以上の男性にしか投票権を認めなかったので、まだ万人平等とはいえませんでした。おまけに、フランスの人民はそれでも満足せず、パリの群衆は凶暴になっていきます。過激派集団のパリ=コミューンは、男性普通選挙権を求め、立法議会に王政の停止を求めました。1792年、立法議会に代わって、新たに国民公会が成立します。国民公会は、新たな憲法を起草し、王政を廃止して、共和政を立ち上げましたが、共和政は不安定でした。権力争いが起こり、国民公会は分断してしまいます。革命中にさまざまな政治的派閥が生まれ、それぞれが共和政の目指す方向性について、別々の考えを持っていたのです。そんな中で、マクシミリアン=ロベスピエール率いるジャコバン派(憲法の友の会、ジャコバン協会、自由と平等の友)という集団は、「恐怖政治」を宣言して政敵たちを支配し、左派か右派かを問わず、王を支持する者や、法令に反対する者を次々と逮捕していきました。マクシミリアン・ロベスピエールが、1793年7月27日に公安委員会に入ってからの約一年間はフランスの事実上の首班(第一の席次・地位)として活躍しました。内憂外患(国内の心配事と、外国との間に生じるやっかいな事態、内にも外にも憂慮すべき問題が多いこと)の中でロベスピエールが希望していた国民公会からの完全な信任(独裁権)が、公安委員会の議決を経て認められました。左翼のジャコバン派および山岳派(元々は党員が立法議会の最も高い位置の議席に座ったことでその名が付けられ、フランス革命期の政治党派で、革命期最大の政治結社であったジャコバン派を母体とする)の指導者として民衆と連帯した革命を構想、共和国を守るためと称して国王や政敵などの粛清を相次いで「テルール(恐怖政治、テロの語源)」を断行しました。ロベスピエールによる恐怖政治は、「クーデターや反乱を画策する王党派」「陰謀をめぐらし政府を転覆しようとする政治家」として、自党派内を含む政敵を大量殺害するものでした。これは後のテロリズムの語源となりました。ロベスピエールは普通選挙を擁護し民主主義を標榜しましたが、その評価には恐怖政治期の独裁者というイメージが定着しています。恐怖政治とは、権力者が自らに反対するものを投獄したり、殺戮したりなどという苛烈(かれつ)かつ暴力的な手段を用いて弾圧することによって国民に恐怖を抱かせ、強引に自らの権力を保つような政治全般のことで、「暗黒政治」ともいいます。この時1793年、パリのコンコルド広場にて、ルイ16世(ルイ16世は、恐怖政治が始まる数ヵ月前に処刑されました)、ルイ16世のお妃のマリーアントワネットなどがギロチン(ギロチンは、当時、もっとも苦しまずに死ぬことが出来る、人道的な死刑装置として開発されたものです)により処刑されました。この恐怖政治のために反革命容疑で逮捕拘束された者は約50万人、死刑の宣告を受けて処刑されたものは約1万6千人、それに内戦地域で裁判なしで殺された者の数を含めれば約4万人にのぼるとみられています。1793年から1794年にかけての恐怖政治時代、何千人もの人々が、現在コンコルド広場と呼ばれているパリの公共広場で、断頭台(ギロチン、罪人の首を切り落とすための装置)による斬首刑にされました。ロベスピエールとジャコバン派は、公安委員会の名のもと、独裁支配をしきました。フランス革命戦争(1792年~1802年)のあいだ、彼らは100万人以上の男性たちからなる軍を率いて、侵略者たちと戦いました。ところが、1794年7月、ロベスピエールは逮捕され、独裁の罪に問われると、その翌日に断頭台で処刑されてしまいます。フランス革命戦争は、1792年から1802年にかけて、フランス革命を巡ってフランスとヨーロッパ諸国との間で行われた戦争の総称です。フランス革命戦争は、当初はフランス革命に対する諸外国による干渉戦争でしたが、フランスは第一次対仏大同盟および第二次対仏大同盟に勝利して、革命政府の国際的承認と大幅な領土拡大を勝ち取りました。なお1799年11月9日のナポレオン・ボナパルトの第一統領就任以降は、「フランス革命戦争」ではなく「ナポレオン戦争」と呼ばれます。
ロベスピエールの死により、恐怖政治は終わりを告げ、総裁政府が新たに実権を握ります。しかし、総裁政府は頼りなくて、どう国をおさめるのが最善なのか、なかなか見出せずにいました。そこに登場したのが、フランス軍の英雄、ナポレオン=ボナパルトです。彼は総裁政府を廃止し、1799年に新しい政府を立ち上げます。そうして、とうとうフランス革命を終わらせました。5年後、彼は皇帝ナポレオン1世を名乗りました。1812年までに、ナポレオンは、フランス帝国の領土を、現在のイタリア、ドイツ、スイス、その他のヨーロッパ諸国(ただし、イギリスは除く)を含むまでに拡大していきました。1805年、イギリスの子爵(爵位の第4位)のホレーショ=ネルソンは、トラファルガーの海戦(スペイン南西部の岬トラファルガー岬での、イギリスとナポレオン率いるフランスとの戦い)で、ナポレオンの艦隊を破りました。ナポレオンは、フランスの領土を拡大した名将軍でしたが、ロシアにまで侵攻して、領土を拡大しすぎてしまったことは失敗でした。結局、ナポレオン率いる兵士たちは、寒さにこごえ、敗走するはめになります。また、1804年、彼はナポレオン法典(フランス民法典)を制定して、個人の自由、所有権、働く権利、意見を述べる権利を守りました。これで、すべての市民が、法の前では平等になりました。ただし、負の側面もありました。ナポレオンは、自身のイメージを守るため、フランスのほとんどの新聞や本を検閲し、政府の警察に郵便物を開封させましたた。自由が独裁主義に置き換わった、というわけです。ナポレオンについては、英雄なのか?独裁者なのか?と議論されることが多いですが、フランス革命の終了は、ナポレオンの功績といえます。やがて、ナポレオンは、同盟を結んだヨーロッパ諸国によってフランスから追放(エルバ島へ流刑)されますが、フランスに戻ります。よくエルバ島からの脱出といわれますが、実際は、エルバ島は、フォンテーヌブロー条約(1814年4月11日、フランスと対仏同盟国の間で結ばれた講和条約、ナポレオン・ボナパルトのエルバ島追放を定めた)によって、ナポレオンに与えられた引退するための領地であって、別に幽閉されていたわけではありません。ナポレオンはここに近衛隊(このえたい、君主を護衛する軍人・軍団や、直属の護衛)600名とともに隠居しただけで、別に捕虜でも、囚人でもありません。ナポレオンは島に宮廷をつくって、町の行政をしきったり、鉱山開発をしたり、舞踏会をしたりして、自由に暮らしていました。ただイギリス海軍が外から動向を監視をしていただけです。後のセント=ヘレナ島(ナポレオン1世幽閉の地として知られ、1821年にセントヘレナで没しました)とは状況が全く違います。しかし、これも、屋敷に数人のスタッフとともに、豊富な食料品を移入して暮らしていたことが、近年(2015年)明らかになっています。
次に、同盟国側は、先のフォンテーヌブロー条約の条文をいくつか無視したので、ナポレオンは条約が無効になったと宣言してエルバ島を出て行く合理的な口実があって、またフランス国内でブルボン家の急速な不支持が広まり、ナポレオン待望論が強まり、その帰還を可能にしたので、島を出てイタリアからフランスへ向かったわけです。別に囚人じゃないので、脱走ではありません。ただ海上でイギリス海軍に拿捕されると捕虜になる危険があったので、こっそりと出て行きました。
迎え撃ったブルボン家支配下のフランス軍は、ナポレオンと戦うどころか、諸手をあげて歓迎したので、あのような劇的なパリへの帰還が成し遂げられたわけです。ルイ18世がナポレオンへ討伐軍を差し向けましたが、ナポレオンが「皇帝を殺したい者は誰だ! 余はここにいるぞ!」と叫んだところ、兵士たちが全員寝返ったそうです。1815年2月26日、ナポレオン・ボナパルトが流刑されていたエルバ島を脱出し、パリへ戻り復位を成し遂げました。しかし」、1815年6月、現在のベルギーで起こったワーテルローの戦いに破れ、またもや追放され、とうとう1821年に亡くなります。こうして、皇帝ナポレオンは去りましたが、フランスに民主政ができあがるのは、まだ先の話でした。ナポレオンは百日天下(1815年3月から6月までのナポレオンがフランスに復帰した短期の政権、エルバ島を脱出し、パリに帰還したナポレオンが帝政を復活させた1815年3月から、ワーテルローの戦いで敗れて再び退位する6月までのほぼ100日間をさします)の後、ワーテルローの戦いで破れ、大西洋の孤島セントヘレナ島に流刑(1815年)に合い1821年に死亡しました。当時、ナポレオンの遺言どおり、主治医とイギリス人医師らが解剖を行い、死因は胃癌と発表されました。
・ル・クラレンス・ド・オー・ブリオン(2nd)
メドック格付け第一級、数世紀に渡る歴史を持つ由緒正しき「シャトー、オー・ブリオン」のセカンドラベルです。その違いは葡萄が実っていた樹の樹齢だけで、土壌や品質管理については全てファーストラベルと同じです。そのため、若いうちからシャトー・オー・ブリオンならではのエレガンスを堪能することができます。
・シャトー・バーン・オー・ブリオン(2nd、終売)
五大シャトーのうちの1つ、メドック格付け1級「シャトー・オーブリオン」の伝統を引き継いだ幻のセカンドワインです。
こちらは2006年までオー・ブリオンのセカンドワインとしてリリースされておりましたが、2007年からは「ル・クラレンス・ド・オー・ブリオン」とワイン名が一新されました。現在は生産されておらず、大変稀少なワインとなっています。ファーストラベルのオー・ブリオンと同じ畑の樹齢の若い葡萄を使用しています。醸造方法から土壌管理も全てオー・ブリオンと同じ手法がとられています。五大シャトーの中では、メルローの比率が最も高いエレガントなスタイルとして知られているオー・ブリオンです。セカンドラベルもその意志を引き継ぎながらもリーズナブルで早くから楽しめるスタイルとなっています。リーズナウルといっても、かなり稀少価値も高く、かなり高額となっています。
・レ・プランティエール・デュ・オー・ブリオン(2nd、終売)
生産者はオー・ブリオンですが、オー・ブリオン・ブランとラ・ミッション・オー・ブリオンの葡萄をブレンドした贅沢かつ希少な白ワインです。華やかな香りと複雑味が魅力です。2つの名門シャトーの偉大な畑の葡萄から生み出される、贅沢なボルドー・ブランです。2つのシャトーのセカンドラベル的位置づけで造られ、現在では生産されていない幻の銘柄です。最上級のテロワールから生まれる上質な葡萄を使用し、エレガントな果実味と複雑さが感じられる見事な仕上がりです。
●ラ・ミッション・オー・ブリオン
「ラ・ミッション・オー・ブリオン」は、道を1本はさんでオー・ブリオンと向かい合うオー・ブリオンの兄弟にして最大のライバルです。醸造はブドウを手摘みで収穫した後、温度管理したステンレスタンクで約14日間発酵を行い、50~100%新樽フレンチオークで約20~24ヵ月間熟成させます。しなやかでエレガント、女性的と言われるオー・ブリオンに対し、ラ・ミッションは味わいが力強く重い男性的なスタイルです。がっしりとした骨格のワインですが、熟成とともに丸くなり、女性的に変化していくのが特徴です。官能的な果実味と心地良いタンニンがラ・ミッション・オー・ブリオンの世界へ誘います。
ラ・ミッション・オー・ブリオンの始まりは17世紀です。「ラ・ミッション」の修道会のメンバーのためにワイン造りが始められたことからでした。フランス王政の基礎を築いたリシュリューは、「神が酒を飲むことを禁じていたら、このような良質なワインをつくったであろうか?」 と述べており、当時から上質なワインを造っていたことが伺えます。何度か所有者の変遷を経て、1983年には、お隣のオー・ブリオンを擁するディロン家がラ・ミッション・オー・ブリオンを購入しました。ディロン家は、古い貯蔵倉庫の改装から始まり、新しい施設の建設、コンピュータプログラムによって管理される製造ラインの設置など、潤沢な資金により抜本的な改革を行っています。また、新樽率を100%に引き上げ、1992年からはセカンド・ワインのラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オーブリオンをリリースしました。質の高いブドウをさらに厳選できるようになり、近年さらに評価は高まっています。
・ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン(2nd)
「ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン」はラ・ミッション・オー・ブリオンのセカンドラベルです。2006年に併合された旧ラ・トゥール・オー・ブリオンの畑のブドウを使用しており、ファーストラベルと同様の栽培法、丁寧なケアを受けたブドウからは、グラーヴらしい、熟したベリーにミネラル感を伴ったエレガンスが際立つワインが生み出されています。
ディロン家が所有する、グラーヴ地区を代表する1級シャトー「オー・ブリオン」の周囲には、同じくオー・ブリオンの名前を冠する、ウォルトナー家が所有していた3つのシャトーが存在します。それが、「ラ・ミッション・オー・ブリオン」、「ラヴィル・オー・ブリオン」、「シャトー・ラ・トゥール・オー・ブリオン」です。オー・ブリオンとは元々この一帯の地名であり、以前は同じシャトーだったものが、いつ頃からか分離・独立したのだそうです。1級シャトー「オー・ブリオン」をライバル視し、互いに切磋琢磨していたのですが、1983年、全てディロン家の所有となり、4つのオー・ブリオンはまた1つにまとまりました。
シャトー・ラ・トゥール・オー・ブリオンは、かつては「ラ・ミッション・オー・ブリオン」のセカンドワイン扱いをされていた時期もありました。現在では独立した銘柄として販売されていますが、仕込みは今なお「ラ・ミッション・オー・ブリオン」で行われており、市場評価はやや低めになっています。畑が隣接しているとはいえ、やはり土壌の違いがあり、これは致し方ないことなのかもしれません。しかし、ブドウのブレンド比率を変えるなど、他のオー・ブリオンたちとは違ったワインを目指しており、その味わいを好む方も増えてきています。
・クラレンドル・ルージュ(3rd)
5大シャトーの一角として君臨する「シャトー・オー・ブリオン」を所有する、クラレンス・ディロン・ワインズが造るクラレンドル・シリーズです。オー・ブリオンのワインを含む、ボルドー全域からクオリティの高いワインを厳選し、オー・ブリオンの醸造チームが手掛けているという何とも贅沢な造りの1本です。 ボルドーワインならではの重厚さと気品をぜひご堪能ください。
※1stのさらに上 シャトー・オー・ブリオン・ブラン
「甘口ワインのように、最高に甘美なアロマを持つ辛口白ワインを造る」という壮大な夢に基づいて「シャトー・オー・ブリオン」が造る、ボルドーでも群を抜いて稀少かつ最高級の白ワインです。独自のアッサンブラージュによる、芳醇かつ複雑なアロマと唯一無二の味わいを持ち、スケールのあるストラクチャーで飲み手を魅了し続けています。他のボルドーの白ワインとは一線を画す唯一無二の味わいです。
■おまけで、その他のセカンドラベル、サードラベル
①シャトー・パルメ(1st)
フランスのワイン法により最上位のカテゴリーにランクされているワインはAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)ワインと呼ばれています。マルゴーアペラシオンのなかで、メドック格付け第3級でありながら、1級シャトーのシャトー・マルゴーに匹敵し、シャトー・マルゴーに次ぐ人気と実力を誇る評判の高いシャトーです。
マルゴーアペラシオンのなかで、格付け第一級のシャトー・マルゴーに引けを取らないといわれています。香り高いブーケと複雑で深みのあるアロマ、そして滑らかなテクスチャーは飲む者を魅了して止みません。シャトー・パルメは格付け第三級ながら、第一級や第二級シャトーと同程度の価格帯で取引されており、それは世界中のワインラヴァ―がこのワインに高い価値を見出している証拠と言っても過言ではありません。
シャトー・パルメの格付けは第三級ですが、その実力は五大シャトーと同程度の第一級相当と言われており、もし現在メドック格付けの見直しがあれば、第一級へ昇格すべきシャトーとされています。「真のマルゴーワイン」と称される歴史あるシャトーです。
その歴史は、ナポレオンの時代が終焉に向かった1814年に、ウェリントン将軍に仕えたイギリスの若き将官シャルル・パルメ(チャールズ・パーマー)が、未亡人マリー・ブリュネ・ド・フェリエール氏より購入したのが始まりです。当時はドメーヌ・ド・ガスクという名前で呼ばれ、王侯貴族に珍重され、すでにそのワインの品質の高さは知られており、当時の最高値に並ぶ価格で取引されていました。 これがシャトー・パルメの始まりです。パルメ将官は約30年にわたり、畑を広げ、当時の最新設備や栽培技術を導入するなどの様々な改良を行い、シャトーを彼の名前であるパルメと名付けました。その後、シャトーへの投資により経済的に困窮したパルメ少将の下から売却され、10年以上にわたりシャトーに無関心な所有者の管理下となったことで、シャトーは大混乱に陥りました。それを受け、フランス第二帝政時代の1853年に、銀行や鉄道事業で名をはせていた銀行家のエミール・ぺレール氏とイザック・ ぺレール氏の兄弟にシャトーを売却しますが、ウドンコ病の被害に見舞われ、畑に植わっていたすべての葡萄を引き抜いて、新たに植え直したりして、大掛かりなシャトーの改革に着手したものの、1855年のメドックの格付けでは三級にとどまることになりました。
1938年にボルドーのマーラ・ベッセ家、シシェル家、ミアレ家、ジネステ家という4つのファミリーがシンジケート(共同事業組織)を形成し、シャトー・パルメを購入します。マーラ・ベッセ蔵出しのオールド・ヴィンテージにシャトー・パルメが多いのはこの理由からです。1967年~1976年にかけて五大シャトーの一つシャトー・マルゴーが不調に陥った際にはシャトー・パルメはマルゴー地区のトップシャトーの座を誇っていました。 現在はマルゴーの復活により、さすがにトップの座は譲ってしまった感はあるのですが、1990年代後半には大規模のセラー改修を実施し、1998年からはセカンドワイン「アルテ・レゴ・ド・パルメ」のリリースを開始するなど挑戦的な試みを行い、依然マルゴーに匹敵する程の高い評価を受けています。そして現在はそのうちの2つの名家であるシシェル家(1961年にはシャトー・アングリュデ、1990年にはシャトー・トリヨル、そして2002年にはシャトー・アルガダンスを購入)とマーラ・ベッセ家(ワイン好きの間ではよく知られたワイン商)が所有しています。イギリス出身のシシェル家はイギリスやフランス国内に販売を行うワイン商を営み、オランダ出身のマーラ・ベッセ家は織物とワインビジネスで名をはせていました。2004年からは、イタリアの有名ワイナリーなど世界中で経験を積んだ、当時まだ34歳という若さであった農学者兼エノロジストのトマ・デュルー氏に経営を委ねています。トマ氏の指揮の下、選果台や貯蔵庫、試飲専用の部屋にわたるまで近代的な設備を備えた大規模な改修を行うなど歴史あるパルメの品質向上に余念がありません。小塔のある印象的なシャトー・パルメが位置するのは、マルゴーのアペラシオンの中心あたりの小さなイッサン村の真ん中、ボルドーのワイン街道のすぐ脇です。シャトーとその周辺施設を取り囲んで広がるパルメの葡萄畑は、砂利質土壌のマルゴーの丘に広がっています。シャトー・パルメの栽培チームは2004年からビオディナミ農法に取り組み、年月をかけて厳密にその効果を確認し、2014年にはすべての畑をビオディナミ農法で栽培することに成功します。土の中の微生物や有機物が増え、葡萄樹は気候に対する回復力を持つようになりました。ワイン造りの特徴としては、他のシャトーに比べてメルロの比率が高いことが一つです。葡萄は醸造所に届くとすぐに畑の区画と品種ごとに慎重に分類され、20日~30日間のマセラシオン(醸し)の期間を経て、54個ものタンクを用い区画ごとに最適な方法で醸造されます。キュヴェごとに試飲をし、クラス分けをして、最終のブレンドを決定します。樽熟成は20~22カ月程度で、新樽比率は50%弱です。こうすることでシャトー・パルメらしい、芳醇かつ滑らかで調和の取れた、エレガントで洗練された味わいを生み出しているのです。 
・アルテ・レゴ・ド・パルメ(2nd)
5大シャトー、シャトー・マルゴーに次ぐ人気と実力と称される「シャトー・パルメ」です。こちらのアルテ・レゴ(ラテン語で分身、無二の親友という意味)は、単なるセカンドラベルではなく、その名のとおり「もうひとつのパルメ」として仕立てられた、パルメと表裏一体のワインです。ファーストと比べメルロ比率が高く、よりマルゴーアぺラシアンのワインの理想形に近い仕上がりです。しなやかでセクシーな、とろけるような味わいが特徴です。
②シャトー・カロン・セギュール(1st)
5大シャトーではありませんが、「シャトー・カロン・セギュール」は、格付け以上の知名度を誇るボルドーメドック格付け第3級シャトーです。ハートのエチケットと「ニコラ・アレクサンドル・マルキ・ド・セギュール侯爵」の「わたしはラトゥールでもラフィットでもワインをつくるけれど、わたしの心はカロンにあり」という言葉で有名です。セギュール侯爵のこの言葉は時を越えて伝えられ、その100年後にはシャトーの石壁にハートが刻まれました。シャトーのシンボルマークとしてワインラベルを飾ります。18世紀になり、ボルドー議会の議長だったマルキ・ド・セギュール侯爵が、 義父の所有であったカロン・セギュールを継いだことが、躍進の始まりでした。シャトー・カロンを持参金に嫁いできた奥方に配慮したものだったと考証されています。「葡萄の王子」といわれた「ニコラ・アレクサンドル・マルキ・ド・セギュール侯爵(1697~1755)」は、18世紀初頭に、マルゴーを除く、のちのメドック格付け第1級となるシャトーすべての所有権を手にします。セギュール侯爵の死によって、相続問題が発生しますが、彼には男子がいなかったため、数々のシャトーは4人の娘に分与され、その後、売却などのさまざまな経緯を経て、現在に至ります。かわいらしいハートがあしらってあるラベルなので、クリスマスのプレゼントなどに選ばれ、カップルが過ごす大事な日のお供として大きな需要があります。
・ル・マルキ・ド・カロン(2nd)
格付け以上の知名度を誇る「シャトー、カロン・セギュール」の約1/3という価格で、カロン・セギュールのエッセンスを愉しめるセカンドラベルがル・マルキ・ド・カロン・セギュールです。ファーストと比べメルロの比率が高いため、若いうちから楽しめる親しみやすいスタイルです。
・ル・プティ・カロン(3rd)
その愛らしいラベルと高いクオリティで世界中のボルドー・ラヴァーから支持され続ける、「シャトー・カロン・セギュール」のサードラベルです。醸造工程はカロン・セギュールやセカンドのル・マルキ・ド・カロン・セギュールとほぼ同じという贅沢な造りで仕立てられます。人気シャトーのエッセンスを堪能できる、卓越したバランスが魅力です。
・サン・テステフ・ド・カロン・セギュール(3rd)
「サン・テステフのシャトー・マルゴー」と例えられ、常に格付け以上の人気を誇る実力派「シャトー・カロン・セギュール」が手掛けるサードラベルです。フレッシュな果実味と綺麗な酸味が織り成す、親しみやすい仕上がり。ハートをモチーフにしながらもスタイリッシュなラべルは、プレゼントやお持たせにもピッタリです。
■さらにおまけでDECOY
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が2024年4月12日にInstagramストーリーズを更新し、愛犬・デコピンが「DECOY(デコイ)」と書かれたワインの形をしたおもちゃとたわむれる様子を公開し、反響が寄せられています。加えているおもちゃのボトルは「カベルネ ソーヴィニヨン」らしく、その後方には、「リミテッド」の文字が見えます。大谷選手が引き取って「デコピン」と名付ける前の名前が「デコイ(DECOY)」だったそうです。「ドジャース」も「エンゼルス」のあるロサンゼルスもDECOYのあるカリフォルニア州です。
ダックホーンはナパ・ヴァレー・セントヘレナ(アメリカ合衆国カリフォルニア州ナパ郡の都市)の北にダンとマーガレットのダックホーン夫妻により1976年に設立されたワイナリーです。
1970年代初頭にボルドーのポムロールを訪れた際に味わった傑出したメルローに感銘を受け、メルローの生産に注力するという決断を心に決めました。当時を振り返り、ダン・ダックホーンはこう述べています。「私はこの品種の柔らかさ、魅惑的な雰囲気、色、様々な料理との相性の良さが気に入っていました。私はメルローに魅了されたのです。」
かねてより北米では、メルローは退屈な味わいとして、ブレンド用品種としかみなされていませんでした。ですが、メルローを主体にした、果実味だけでなくミネラルや奥行を持ったワインを造り上げ、高い評価を得ることに成功しました。そしてこの名声は2017年11月にWine Spectator誌において、TREE PALMS VINEYARDがNo.1 Wine of the yearに選ばれることで頂点に達しました。
現在はナパ・ヴァレー(カリフォルニア州ノースコースト地区、内陸側のゆるやかな丘陵地帯)にある自社畑だけでなく、厳選した契約畑からもワインを造り、特にメルローはダックホーンを代表するワインとして評価を受けています。
2009年に行われた、米国オバマ大統領の就任式昼食会にてダックホーン・ヴィンヤーズのワインが供され、2010年には、ワイン&スピリッツ誌にてワイナリー・オブ・ザ・イヤーにも選出されました。
デコイは「高品質なワインをリーズナブルな価格で」をポリシーに、ダックホーン・ヴィンヤーズのセカンドワイン的な位置づけで1985年からスタートしたシリーズです。
「デコイ・リミテッド・カベルネ・ソーヴィニヨン・アレキサンダー・ヴァレー」は、アレキサンダー・ヴァレー(カリフォルニア州ノースコースト地区、海岸側のソノマ・コースト北東部)にある自社畑、リッジライン・ヴィンヤードとブラウネル・ヴィンヤードの葡萄を主体に、厳選した契約農家の葡萄をブレンドして造られた、デコイシリーズの中でもワンランク上の上級キュヴェ(もともとはワインの醸造に使う「醗酵槽」のことを指す言葉でしたが、現在は「ブドウの搾汁」「未完成のワイン」「ワインの完成品」のいずれかを指すときに使われます。 つまりブドウを搾ってジュースになった時点から、ワインとなって瓶に入った状態)です。ソノマ北東部にあるリッジライン・ヴィンヤードは筋肉質で堅牢なブドウを育み、やや南にあるブラウネル・ヴィンヤードでは凝縮感あるブドウに育ちます。ナパ・ヴァレーとは個性の違う、偉大なアレキサンダー・ヴァレーの贅沢な美しさを余すことなく表現したワインです。
「デコイ・カベルネ・ソーヴィニヨン・カリフォルニア」は、ソノマ郡北部の自社畑リッジライン・ヴィンヤード、中部ブラウンネル・ヴィンヤード中心の畑で造る、ソノマのカベルネの魅力にあふれた飲みごたえある赤ワインです。